【第2回】M-VAVE FM-1を買ったらまずここまで——音出しからシーケンサーまで


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前回の記事では、M-VAVE FM-1の基本仕様や、この小さなシンセを取り巻くカスタムファームウェアの世界について紹介しました。

今回は、実際にFM-1を触っていきます。

テーマはシンプルです。

「FM-1を買ったら、まずここまでやってみよう」

音を出す。

音色を変える。

アルゴリズムを変えてみる。

アルペジエーターを鳴らす。

そして最後に、シーケンサーで短いフレーズを作る。

今回はここまでできれば十分です。

なお、今回使用しているFM-1は購入時の純正ファームウェアで、シーケンサー画面に「Pattern / Clear / Chain / Step」が表示されるV15系の仕様です。

最新のV16ではシーケンサー周辺が大きく変更されていますので、V16については別の記事で改めて扱う予定です。


ガジェットシンセは「音が出た」で止まりやすい

小型シンセを買う。

電源を入れる。

プリセットを順番に鳴らしてみる。

アルペジエーターを動かしてみる。

「おお、面白い」

となる。

しかし数日すると、机の隅に置かれている。

こうしたことは、ガジェット系のシンセでは意外と起こりやすいように思います。

機能が少ないからではありません。

むしろ逆です。

小さな筐体の中にたくさんの機能が詰め込まれているため、

「何ができるか」は分かっても、「次に何をすればいいか」が分からない。

ここで一歩止まってしまいます。

そこで今回は、全部を理解することを目標にしません。

まずは、

自分で短いフレーズを作り、それをFM-1に演奏させる。

そこまで進んでみます。


まずは普通に音を出してみる

FM-1は、電源を入れればすぐに音が出ます。

内蔵スピーカーもあるので、最初からオーディオインターフェースやアンプを接続する必要もありません。

MASTERで音量を調整して、鍵盤を弾く。

まずはそれだけです。

この手軽さはFM-1の大きな魅力です。

最初からFM音源の仕組みを理解する必要はありません。

まずは普通の小型シンセとして弾いてみましょう。


PRESETSを回して音色を変えてみる

次は音色を変えてみます。

FM-1には多数のプリセット音色が入っており、PRESETSエンコーダーを回すことで順番に切り替えることができます。

FMらしいエレクトリックピアノ。

ベル。

ベース。

パッド。

ブラス。

リード。

まずは一通り鳴らしてみるだけでも、FM-1がどのくらい幅広い音を出せるのかが分かります。

ここでは、

「どの音色が一番優れているか」

を判断する必要はありません。

むしろ、

同じ小さな箱から、かなり違う質感の音が出てくる

というところを楽しむのが良いと思います。


ALGORITHMを回すだけでも音がかなり変わる

次に、FM音源らしいところへ少しだけ入ってみます。

FM-1には6つのオペレーターと32種類のアルゴリズムがあります。

ただし今回は、

「オペレーターとは何か」

「キャリアとは何か」

といったところまでは踏み込みません。

それは次回の音作り編で扱います。

今回は、気に入ったプリセットを一つ選んで、

ALGORITHMノブを回してみるだけ。

これで十分です。

アルゴリズムを変更すると、6つのオペレーターの接続関係が変わります。

その結果、

同じ音色でも急に金属的になったり、

倍音が増えたり、

柔らかくなったり、

シンプルな音になったりします。

FM音源の面白さを一番簡単に体験できるところです。


次はアルペジエーター

ARPをONにすると、押さえた音を一定の規則で自動的に演奏してくれます。

ここも難しく考える必要はありません。

例えばCメジャーのコードを押さえてみる。

すると、その構成音を順番に演奏してくれます。

モードを変えれば音の動き方も変わります。

テンポを変える。

動き方を変える。

それだけでも十分楽しめます。

ここまでは、FM-1を初めて触った人でも比較的自然に辿り着けると思います。

問題は、その先です。


ここからが今回の本題——SEQを使ってみる

FM-1にはシーケンサーがあります。

V15ではSEQに入ると、

  • Pattern
  • Clear
  • Chain
  • Step

などの項目が表示されます。

ここまで来ると、少し「難しそう」に見えてきます。

しかし最初から全部理解する必要はありません。

今回は、

数音を入力して、繰り返し鳴らす

だけです。

まずARPを使っている場合はOFFにします。

そしてSEQへ入ります。


まずは8音だけ入力してみる

空いているパターンを選んで、RECへ入ります。

ここで鍵盤を押すと、音がステップへ順番に記録されていきます。

最初から16ステップ全部を使う必要はありません。

例えば、

D → Eb → F → D↑ → C → B → C → G

8音入力したら録音を終え、PLAYで再生してみます。

すると、


ここまで来るとFM-1の見え方が変わる

プリセットを鳴らしているだけのとき、FM-1は小さなFMシンセです。

ARPを使うと、自動演奏するシンセになります。

そしてSEQへ自分でフレーズを入力すると、

FM-1自身に自分のフレーズを演奏させられるようになります。

ここで、少し遊んでみましょう。

シーケンスを再生させながら、

PRESETSを変える。

ALGORITHMを変える。

エフェクトを動かす。

同じ8音のフレーズなのに、音色を変えるだけでまったく違う印象になります。


シーケンサーは最初から使いこなさなくていい

V15にはPatternやChainといった機能があります。

Chainを使えば複数のPatternをつなげて、より長い流れを作ることもできます。

しかし今回は、そこまで進まなくても良いと思います。

まず、

音を入力する。

再生する。

ループする。

ここまでできれば十分です。

「Patternとは何か」

「Chainはどう使うのか」

というところまで最初から覚えようとすると、また少しハードルが上がります。

最初の目的は、

シーケンサーという機能を一度、自分の手で動かしてみること。

これだけです。


SAVEまでやって、今回のゴール

最後に忘れてはいけないのが保存です。

せっかく作ったフレーズも、保存しなければ失われてしまいます。

気に入った状態までできたらSAVEしておきます。

今回の最終ゴールは、

音を入力する → 再生する → 保存する

ここまでです。


使いこなすのではなく、一つずつ自分の機能にする

FM-1には、

FM音源。

6オペレーター。

32アルゴリズム。

エンベロープ。

LFO。

エフェクト。

アルペジエーター。

シーケンサー。

MIDI。

SysEx。

さらにカスタムファームウェア。

約1万円の小さなシンセとは思えないほど、多くの機能が入っています。

しかし、全部覚える必要はありません。

むしろ、

全部覚えてから使おうとしない方が良い

と思います。

今日はシーケンサーまで。

次は音作り。

その次はPatternやChain。

そうやって一つずつ、

「FM-1に付いている機能」を「自分が使える機能」に変えていく。

その方が、長く付き合える機材になるのではないでしょうか。


次回はV16……ではなく、まず少し整理したい

現在、FM-1には純正ファームウェアV16が公開されています。

V16では、シーケンサーが最大64ステップへ拡張され、8 Voiceのマルチティンバー化など、かなり大きな変更が入っています。

今回使用したV15とは、シーケンサーの考え方そのものが少し変わっています。

そのため次回以降では、

V15からV16へ更新すると、FM-1がどう変わるのか

についても実際に確認してみたいと思います。

そしてその後、

6オペレーターFM音源の音作り

にも進んでいきます。

FM-1は、触れば触るほど「約1万円の格安シンセ」という言葉だけでは説明できない機材になってきました。

まずは今回、

音を出すところから、自分のシーケンスを鳴らすところまで。

ここまで進めれば、最初の一歩としては十分だと思います。


手軽に持ち運べる文庫本サイズ

FM-1の面白さは、スペックだけではありません。
実際に手にすると、その小ささにも驚きます。

サイズ感としては、一般的な文庫本とほぼ同程度。 文庫本を1冊バッグに入れるような感覚で、6オペレーターFMシンセを持ち運べます。

内蔵バッテリーとスピーカーもあるため、「ちょっと机の上で鳴らす」「外出先へ持っていく」といった使い方との相性も非常に良いサイズです。


M-VAVE FM-1 解説 【1〜13】

M-VAVE FM-1について、基本操作から音作り、カスタムファームウェアまで順番に紹介していきます。

  • 第1回:FM-1とは何か
  • 第2回:V15で最初の一歩——音出しからシーケンサーまで
  • 第3回:V16へアップデートすると何が変わるのか
  • 第4回:V16をDAWから鳴らす——8パート・マルチティンバー音源として使う
  • 第5回:音作り編——6オペレーターFMを怖がらず触る
  • 第6回:Felucca導入——FM-1が別の楽器に変わる
  • 第7回:純正FM-1とFeluccaは何が違うのか
  • 第8回:Firmware Hubとは何か——100種類超のFWを見てみる
  • 第9回:FM-SWITCH——iPhone・iPad・Macからファームウェアを着せ替える
  • 第10回:FM-1用ファームウェアをVST3 / AU / CLAPとしてDAWで動かす
  • 第11回:気になるファームウェアを実際に試してみる
  • 第12回:FM-1は1台で十分? 複数台運用との違いを考える
  • 第13回:FM-1はシンセなのか、プラットフォームなのか
  • ※公開済みの記事から順次リンクを追加していきます。

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