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前回の記事では、M-VAVE FM-1の基本仕様や、この小さなシンセを取り巻くカスタムファームウェアの世界について紹介しました。
今回は、実際にFM-1を触っていきます。
テーマはシンプルです。
「FM-1を買ったら、まずここまでやってみよう」
音を出す。
音色を変える。
アルゴリズムを変えてみる。
アルペジエーターを鳴らす。
そして最後に、シーケンサーで短いフレーズを作る。
今回はここまでできれば十分です。
なお、今回使用しているFM-1は購入時の純正ファームウェアで、シーケンサー画面に「Pattern / Clear / Chain / Step」が表示されるV15系の仕様です。
最新のV16ではシーケンサー周辺が大きく変更されていますので、V16については別の記事で改めて扱う予定です。
ガジェットシンセは「音が出た」で止まりやすい
小型シンセを買う。
電源を入れる。
プリセットを順番に鳴らしてみる。
アルペジエーターを動かしてみる。
「おお、面白い」
となる。
しかし数日すると、机の隅に置かれている。
こうしたことは、ガジェット系のシンセでは意外と起こりやすいように思います。
機能が少ないからではありません。
むしろ逆です。
小さな筐体の中にたくさんの機能が詰め込まれているため、
「何ができるか」は分かっても、「次に何をすればいいか」が分からない。
ここで一歩止まってしまいます。
そこで今回は、全部を理解することを目標にしません。
まずは、
自分で短いフレーズを作り、それをFM-1に演奏させる。
そこまで進んでみます。
まずは普通に音を出してみる
FM-1は、電源を入れればすぐに音が出ます。
内蔵スピーカーもあるので、最初からオーディオインターフェースやアンプを接続する必要もありません。
MASTERで音量を調整して、鍵盤を弾く。
まずはそれだけです。
この手軽さはFM-1の大きな魅力です。
最初からFM音源の仕組みを理解する必要はありません。
まずは普通の小型シンセとして弾いてみましょう。
PRESETSを回して音色を変えてみる
次は音色を変えてみます。
FM-1には多数のプリセット音色が入っており、PRESETSエンコーダーを回すことで順番に切り替えることができます。
FMらしいエレクトリックピアノ。
ベル。
ベース。
パッド。
ブラス。
リード。
まずは一通り鳴らしてみるだけでも、FM-1がどのくらい幅広い音を出せるのかが分かります。
ここでは、
「どの音色が一番優れているか」
を判断する必要はありません。
むしろ、
同じ小さな箱から、かなり違う質感の音が出てくる
というところを楽しむのが良いと思います。
ALGORITHMを回すだけでも音がかなり変わる
次に、FM音源らしいところへ少しだけ入ってみます。
FM-1には6つのオペレーターと32種類のアルゴリズムがあります。
ただし今回は、
「オペレーターとは何か」
「キャリアとは何か」
といったところまでは踏み込みません。
それは次回の音作り編で扱います。
今回は、気に入ったプリセットを一つ選んで、
ALGORITHMノブを回してみるだけ。
これで十分です。
アルゴリズムを変更すると、6つのオペレーターの接続関係が変わります。
その結果、
同じ音色でも急に金属的になったり、
倍音が増えたり、
柔らかくなったり、
シンプルな音になったりします。
FM音源の面白さを一番簡単に体験できるところです。
次はアルペジエーター
ARPをONにすると、押さえた音を一定の規則で自動的に演奏してくれます。
ここも難しく考える必要はありません。
例えばCメジャーのコードを押さえてみる。
すると、その構成音を順番に演奏してくれます。
モードを変えれば音の動き方も変わります。
テンポを変える。
動き方を変える。
それだけでも十分楽しめます。
ここまでは、FM-1を初めて触った人でも比較的自然に辿り着けると思います。
問題は、その先です。
ここからが今回の本題——SEQを使ってみる
FM-1にはシーケンサーがあります。
V15ではSEQに入ると、
- Pattern
- Clear
- Chain
- Step
などの項目が表示されます。
ここまで来ると、少し「難しそう」に見えてきます。
しかし最初から全部理解する必要はありません。
今回は、
数音を入力して、繰り返し鳴らす
だけです。
まずARPを使っている場合はOFFにします。
そしてSEQへ入ります。
まずは8音だけ入力してみる
空いているパターンを選んで、RECへ入ります。
ここで鍵盤を押すと、音がステップへ順番に記録されていきます。
最初から16ステップ全部を使う必要はありません。
例えば、
D → Eb → F → D↑ → C → B → C → G
8音入力したら録音を終え、PLAYで再生してみます。
すると、
ここまで来るとFM-1の見え方が変わる
プリセットを鳴らしているだけのとき、FM-1は小さなFMシンセです。
ARPを使うと、自動演奏するシンセになります。
そしてSEQへ自分でフレーズを入力すると、
FM-1自身に自分のフレーズを演奏させられるようになります。
ここで、少し遊んでみましょう。
シーケンスを再生させながら、
PRESETSを変える。
ALGORITHMを変える。
エフェクトを動かす。
同じ8音のフレーズなのに、音色を変えるだけでまったく違う印象になります。
シーケンサーは最初から使いこなさなくていい
V15にはPatternやChainといった機能があります。
Chainを使えば複数のPatternをつなげて、より長い流れを作ることもできます。
しかし今回は、そこまで進まなくても良いと思います。
まず、
音を入力する。
再生する。
ループする。
ここまでできれば十分です。
「Patternとは何か」
「Chainはどう使うのか」
というところまで最初から覚えようとすると、また少しハードルが上がります。
最初の目的は、
シーケンサーという機能を一度、自分の手で動かしてみること。
これだけです。
SAVEまでやって、今回のゴール
最後に忘れてはいけないのが保存です。
せっかく作ったフレーズも、保存しなければ失われてしまいます。
気に入った状態までできたらSAVEしておきます。
今回の最終ゴールは、
音を入力する → 再生する → 保存する
ここまでです。
使いこなすのではなく、一つずつ自分の機能にする
FM-1には、
FM音源。
6オペレーター。
32アルゴリズム。
エンベロープ。
LFO。
エフェクト。
アルペジエーター。
シーケンサー。
MIDI。
SysEx。
さらにカスタムファームウェア。
約1万円の小さなシンセとは思えないほど、多くの機能が入っています。
しかし、全部覚える必要はありません。
むしろ、
全部覚えてから使おうとしない方が良い
と思います。
今日はシーケンサーまで。
次は音作り。
その次はPatternやChain。
そうやって一つずつ、
「FM-1に付いている機能」を「自分が使える機能」に変えていく。
その方が、長く付き合える機材になるのではないでしょうか。
次回はV16……ではなく、まず少し整理したい
現在、FM-1には純正ファームウェアV16が公開されています。
V16では、シーケンサーが最大64ステップへ拡張され、8 Voiceのマルチティンバー化など、かなり大きな変更が入っています。
今回使用したV15とは、シーケンサーの考え方そのものが少し変わっています。
そのため次回以降では、
V15からV16へ更新すると、FM-1がどう変わるのか
についても実際に確認してみたいと思います。
そしてその後、
6オペレーターFM音源の音作り
にも進んでいきます。
FM-1は、触れば触るほど「約1万円の格安シンセ」という言葉だけでは説明できない機材になってきました。
まずは今回、
音を出すところから、自分のシーケンスを鳴らすところまで。
ここまで進めれば、最初の一歩としては十分だと思います。
手軽に持ち運べる文庫本サイズ

FM-1の面白さは、スペックだけではありません。
実際に手にすると、その小ささにも驚きます。
サイズ感としては、一般的な文庫本とほぼ同程度。 文庫本を1冊バッグに入れるような感覚で、6オペレーターFMシンセを持ち運べます。
内蔵バッテリーとスピーカーもあるため、「ちょっと机の上で鳴らす」「外出先へ持っていく」といった使い方との相性も非常に良いサイズです。
M-VAVE FM-1 解説 【1〜13】
M-VAVE FM-1について、基本操作から音作り、カスタムファームウェアまで順番に紹介していきます。
- 第1回:FM-1とは何か
- 第2回:V15で最初の一歩——音出しからシーケンサーまで
- 第3回:V16へアップデートすると何が変わるのか
- 第4回:V16をDAWから鳴らす——8パート・マルチティンバー音源として使う
- 第5回:音作り編——6オペレーターFMを怖がらず触る
- 第6回:Felucca導入——FM-1が別の楽器に変わる
- 第7回:純正FM-1とFeluccaは何が違うのか
- 第8回:Firmware Hubとは何か——100種類超のFWを見てみる
- 第9回:FM-SWITCH——iPhone・iPad・Macからファームウェアを着せ替える
- 第10回:FM-1用ファームウェアをVST3 / AU / CLAPとしてDAWで動かす
- 第11回:気になるファームウェアを実際に試してみる
- 第12回:FM-1は1台で十分? 複数台運用との違いを考える
- 第13回:FM-1はシンセなのか、プラットフォームなのか
- ※公開済みの記事から順次リンクを追加していきます。