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近年、生成AIの進化は目覚ましく、「AIが音楽を作る」ということ自体は珍しいものではなくなりました。数年前、Synthesizer V AIが登場したとき、多くのクリエイターが「ここまで自然に歌うのか」と驚きました。しかし現在では、画像生成AI、動画生成AI、音楽生成AIなど、さまざまなAI技術が日常的に使われるようになり、その”驚き”は少しずつ薄れてきています。
私自身、YouTubeチャンネル「エムフリ♡m.Freaks」をSynthesizer Vの解説からスタートし、おかげさまで開設から半年ほどで収益化を達成することができました。当時は歌声合成そのものへの関心が非常に高く、多くの方が「どんなソフトなのか」「どう使うのか」を知りたい時代だったように思います。
しかし最近は少し空気が変わってきました。
今回は、Synthesizer VとVOCALOID、それぞれの現在地と、AI時代における歌声合成の未来について考えてみたいと思います。
「AIだからすごい」は、もう価値ではなくなった
現在は、AIが自然に歌うこと自体は珍しくありません。
だからこそ、これから評価されるのは「AIを使っていること」ではなく、「AIを使って何を表現するか」になっていくでしょう。
私は普段、ギターやベース、ピアノ、アコーディナなど、生演奏を中心に作品を制作しています。
つまり、私の音楽は生成AIが一から作る作品ではなく、自分で演奏し、録音し、その最後の「歌い手」としてSynthesizer Vを起用している形です。
私にとってSynthesizer Vは、AIというよりも「楽器」の一つなのです。
それでも「AIボーカル」と知った瞬間に評価が変わる現実
一方で、一般のリスナーにはまだ根強い先入観があります。
作品を聴いているときには自然に受け入れていても、「このボーカルはAIです」と伝えた瞬間に評価が変わってしまうことがあります。
これは技術の問題ではありません。
「人間ではない」という情報が作品の印象を左右してしまう、心理的なバイアスです。
Synthesizer VとVOCALOIDは、似ているようで違う道を歩いている
今回改めて考えてみると、現在のSynthesizer VとVOCALOIDは、競争しているようで実は目指している方向が少し違うように感じます。
Synthesizer Vは「歌を制作するツール」
Dreamtonicsは近年、新しいボイスバンクを次々と発表しています。
その特徴を見ると、
- ミュージカル俳優
- プロシンガー
- 多言語話者
など、実在する歌い手としての魅力を重視しているように感じます。
つまり、「キャラクター」ではなく、「歌手」を提供しているのです。
これは制作ツールとして非常に合理的な考え方です。
しかし一方で、新しいボイスバンクが登場しても、「何が違うのか」が一般のユーザーには伝わりにくいという課題もあります。
ANRI Requiemの発表時にも、「Arcane RDXと何が違うの?」という声が多く見られました。
これは性能の問題ではなく、違いが細かな表現力や収録コンセプトにあるため、文脈を理解して初めて価値が見えてくるからでしょう。
VOCALOIDは「キャラクター文化」を育て続けている
一方でVOCALOIDは少し違います。
初音ミク、鏡音リン・レン、巡音ルカ……
これらは単なる歌声ライブラリではありません。
一つのキャラクターであり、一つの文化です。
新しいバージョンが登場すると話題になるのは、性能だけではなく、「初音ミクが新しくなった」というブランドの力があるからです。
私自身、最近公開した「埴生の宿」では最新の初音ミクを起用しました。
そこには性能だけではない、「このキャラクターに歌ってもらいたい」という選択があります。
VOCALOIDは現在、歌声合成ソフトという枠を超え、創作文化そのものを支える存在になっているように感じます。
VOCALOIDは「専門化」したのではないか
最近、VOCALOID関連の解説動画は以前ほど多くありません。
しかし、その一方で投稿される作品の完成度は非常に高くなっています。
これは興味深い変化です。
以前は「VOCALOIDって面白いね」という入り口の作品が多かった印象ですが、現在では「VOCALOIDだからこそ表現できる作品」を作るクリエイターが多くなっています。
つまり、ツールとして成熟し、専門性が高まっているのです。
これは、以前多くの人が通った「ブーム」の先にある姿なのかもしれません。
Synthesizer Vも、同じ道を歩むのだろうか
私は、Synthesizer Vも今後は同じように専門化していくと考えています。
ただし、その専門性はVOCALOIDとは少し異なります。
VOCALOIDはキャラクター文化とともに成熟しました。
一方、Synthesizer Vは制作ツールとして成熟していくでしょう。
より自然に歌い、
より細かなニュアンスを表現し、
より自由に歌唱をデザインできる。
その方向性は今後も変わらないと思います。
だからこそDreamtonicsには、ボイスバンクだけではなく、編集ワークフローや制作体験そのものをさらに進化させていくことも期待しています。
「どんな歌手が増えたか」だけではなく、「このソフトだからこそできる制作」を打ち出すことが、今後さらに重要になるでしょう。
AI時代だからこそ、「人」が問われる
生成AIはこれからも進化していきます。
しかし、それによってクリエイターの価値がなくなるとは思いません。
むしろ逆です。
誰でもAIで作品を作れる時代だからこそ、
「なぜその表現を選んだのか」
「なぜその歌声を選んだのか」
「なぜその楽器を演奏したのか」
そうした制作の思想や哲学が、これまで以上に作品の価値を決める時代になるのではないでしょうか。
AIは作品を作ることはできます。
しかし、「なぜその作品を作ったのか」という想いまでは代わりに語ってはくれません。
おわりに
Synthesizer VとVOCALOID。
どちらが優れているという話ではなく、それぞれが異なる価値を育てながら進化しています。
一方は「歌を制作するツール」として。
もう一方は「キャラクター文化」として。
そして、そのどちらにも共通しているのは、人が音楽を表現したいという願いです。
AI時代になっても、その根本は変わりません。
私はこれからも、生演奏を大切にしながら、Synthesizer VやVOCALOIDという歌い手と共に、自分らしい音楽を作り続けていきたいと思います。
技術は進化します。
けれど最後に作品へ命を吹き込むのは、やはり作り手自身なのだと、私は信じています。
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付録ー調声に最適なヘッドフォン!
付録として、エムフリお気に入りのお薦めグッズをここに掲載します!
今回は調整作業に使っている、ヘッドフォンです。
僕は基本的にヘッドフォンで音楽を聴くのは好きではなくて、アナログ録音時のモニターか雑音などの最終チェックにしか使いません。
その理由は再生音がヘッドフォンによる特性にかなり左右されるからです。なので制作時にはその目的に応じた音のヘッドフォンを選択することになります。録音時のモニターや雑音を検知するのに適したものを選びます。
ただ、ヘッドフォンはそれほど好きではないのです。空間を介さない直接耳に伝える音なので、どちらかというと好んで使うというよりも、作業工程で仕方なく使うことが多いです。
♡購入までの経緯
最近、SynthesizerVで調声をするようになって、MacBookPROを使用して外出先などでも作業するようになりました。そうするとヘッドフォンは必須となってきます。長時間装着して疲れなければ、まぁイイかくらいで適当に選んでいました。
当初はデザイン性からTeenage Engineering のヘッドフォンを使用していました。オシャレな感じと携帯に便利なので使っていました。ハイがカットされて中低位域がモッコリするのですが、聞き疲れしないので気に入っていました。しかし、カバンに入れて持ち歩いていると可動部分が折れてしまいました。
気に入っていたので(デザインが〜笑)再注文して、ついでにいろいろ検索していると「アシダボックス」なるものを見つけました。ものすごく評判が良くて一時期は入手困難な状態が続いていました。日本のメーカーでデザインがなんともレトロ。
Teenage Engineeringのヘッドフォンよりも安かったのでポチってみました。
♡調声に最適
結論からいいますと、めっちゃイイです。特にSynthesizerVの調声作業にバッチリです!
丁度、人の声の部分が聞きやすくて微細な変化もこのヘッドフォンだと聞き逃すことがないです。SynthesizerVで調声をされている方には、是非是非お薦めのヘッドフォンです。コスパも良いです。
同じデザインで、ST-90-05とST-90-07というのがあります。僕が購入したのはST-90-07のほうです。評判になっていたのはST-90-05のほうなのですが、さらにパーツのグレードを上げて音をよくしたのががST-90-07です。
低域はあんまり出ませんので、そういった需要の音楽には不向きです。声が聴き取りやすいので、調声とは抜群に相性がイイです。先にもいったようにヘッドフォンは、その目的に応じて使うのが理想的で万能性を求めるものではありません。
最初にいったようにヘッドフォンを使うのはあまり好きではないのですが、これはかなりお薦めです。これを使い出してから、SynthesizerVの調声で細部の音の動きに迷うことが減って作業効率が上がりました。
とにかく声の微細な変化がとてもわかりやすいので、是非使ってみてください!
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