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Appleから次期Logic Proの情報が発表されました。
現時点ではApple公式のリリースノート上ではLogic Pro 12系が現行版ですが、各種報道では次期バージョンが「Logic Pro 13」として扱われています。
まだ正式リリース前のため、今回はAppleが発表している範囲を中心に、
Logic Pro 12から何が変わるのか
という視点で整理してみます。
今回のアップデートを一言で表すなら、
AIが「演奏する機能」から「DAWそのものを支援する機能」へ広がる
という進化になりそうです。
- 1 Logic Pro 12までのAIは「演奏するAI」だった
- 2 最大の変化は「Intelligent Assistant」
- 3 AIが「楽器」から「アシスタント」へ
- 4 Browserも大きく進化する
- 5 「似た音を探す」という制作方法
- 6 SpliceもLogicのBrowserへ統合
- 7 Stem Splitterはドラム内部まで分離
- 8 Stem Splitterが「リミックス機能」だけではなくなる
- 9 過去の作品をリマスターするときにも便利
- 10 Logic Proのデザインも変わる
- 11 Voice Memoとの連携も強化
- 12 Sergio George Producer Packも追加
- 13 Logic Pro 13は「音源追加型」のアップデートではない
- 14 Logic Pro 11、12、13の流れを見る
- 15 今回、一番気になる機能はどれか
- 16 まとめ――Logic Proは「操作するDAW」から変わり始める
Logic Pro 12までのAIは「演奏するAI」だった
Logic Proでは、ここ数年AIを利用した制作支援機能が急速に増えてきました。
代表的なのがSession Playersです。
Drummerから始まり、Bass Player、Keyboard Player、さらにSynth Playerへと発展し、コード進行や楽曲構成に合わせて自動的に演奏を生成できるようになりました。
Logic Pro 12ではChord IDも追加され、録音されたオーディオやMIDIからコードを解析し、Chord Trackへ反映できるようになっています。
つまりLogic Pro 12までのAIは、
- 演奏する
- コードを理解する
- 楽曲に合わせて伴奏する
といった、
「音楽そのものを理解して演奏するAI」
という性格が強かったわけです。
Logic Pro 13では、そこからさらに一歩進みます。
最大の変化は「Intelligent Assistant」
Logic Pro 13で最も象徴的な機能が、
Intelligent Assistant
です。
これまでのSession Playerは、あくまで楽器演奏を担当する機能でした。
一方、Intelligent AssistantはLogic Proそのものの操作や制作工程をサポートします。
例えば、
「ボーカルを録音する準備をしたい」
「曲を作り始めたい」
「このプロジェクトをもう少し仕上げたい」
といった制作上の目的に対して、Logic側が操作やワークフローを支援します。
これまでDAWでは、
メニューを開く
↓
機能を探す
↓
トラックを作る
↓
プラグインを設定する
という操作が必要でした。
今後は、
「何をしたいか」を伝える
という考え方が入ってきます。
ここはLogic Proの操作体系そのものに関わる大きな変化でしょう。
AIが「楽器」から「アシスタント」へ
Logic ProのAI機能を時系列で見ると、方向性がよく分かります。
最初はDrummerのような、
演奏者の代わりになるAI
でした。
そこからBass PlayerやKeyboard Player、Synth Playerへ発展します。
さらにChord IDによって、
楽曲を分析するAI
が加わりました。
そしてLogic Pro 13では、
制作そのものを支援するAI
へと進みます。
つまり、
演奏
↓
解析
↓
制作支援
という流れです。
今回のアップデートで重要なのは、新しいAI機能が増えたこと以上に、
AIがLogic Proの中で担当する範囲が変わった
という点でしょう。
Browserも大きく進化する
実際の制作では、Intelligent Assistant以上に影響が大きそうなのがBrowserの刷新です。
Logic Proには膨大なLoop、音源、プリセットがあります。
さらにユーザー自身がサンプルを所有している場合、必要な音を探すだけでもかなり時間がかかります。
Logic Pro 13では、
Music Understanding
と呼ばれる仕組みによって、オーディオ素材そのものを解析し、自動的に分類やタグ付けを行います。
つまり従来の、
「ファイル名を見て探す」
という方法から、
「音の内容を理解して探す」
という方向へ変わります。
これはかなり大きな違いです。
「似た音を探す」という制作方法
さらに面白いのが、あるサウンドを基準にして関連する素材を探せるようになる点です。
例えば曲の中で使っているLoopをBrowserへ持っていき、
「この音に合う素材」
を探すことができます。
これは従来の、
Kick
Percussion
Ambient
Synth
といったカテゴリー検索とは少し違います。
制作中の音楽を基準に、
音楽的に関連する素材を検索する
という発想です。
大量のサンプルライブラリを所有しているユーザーほど恩恵が大きい機能でしょう。
SpliceもLogicのBrowserへ統合
今回のBrowser刷新では、Spliceとの統合も予定されています。
Spliceユーザーであれば、LogicのBrowserから素材を探し、そのまま制作へ利用できるようになります。
これまでのように、
Logic
↓
Splice
↓
素材を探す
↓
ダウンロード
↓
Logicへ戻る
という流れが短縮されます。
単純な機能追加というより、
DAWから外へ出ずに制作を完結させる
という方向性が見えてきます。
Stem Splitterはドラム内部まで分離
Logic Proの中でも非常に実用性の高い機能がStem Splitterです。
完成したステレオ音源から、
- Vocal
- Drums
- Bass
- Guitar
- Piano
- Other
といったパートを分離できます。
Logic Pro 13では、さらにドラムの内部を、
- Kick
- Snare
- Hi-Hat
- Toms
- Cymbals
- Other
といった形で細かく分離できるようになります。
これはかなり実用的です。
Stem Splitterが「リミックス機能」だけではなくなる
例えばステレオでしか残っていない古い楽曲があったとします。
従来であれば、ドラム全体の音量やEQを変更することしかできませんでした。
しかしドラム内部を分離できれば、
キックだけEQする
スネアだけ音量を変える
ハイハットだけ抑える
シンバルだけ加工する
といった処理が可能になります。
さらに、
スネアだけ別の音に差し替える
といった再構築も考えられます。
Stem Splitterはこれまで「既存曲からパートを取り出す機能」という印象が強かったのですが、
Logic Pro 13では、
古い録音を再編集するツール
としても利用価値が増しそうです。
過去の作品をリマスターするときにも便利
特に自分で長期間楽曲制作をしている人にとって、この機能は面白いでしょう。
昔のプロジェクトが残っていない。
あるいは使用していたプラグインがすでに動かない。
しかし2mixだけは残っている。
このようなケースでもStem Splitterを利用すれば、ある程度パートごとに分解して再調整できます。
完全に元のマルチトラックへ戻せるわけではありませんが、
過去作品を現在の環境で再構築する
という用途は確実に増えていきそうです。
Logic Proのデザインも変わる
Logic Pro 13ではUIにも変更が入ります。
Appleが現在各OSで展開している、
Liquid Glass
のデザインがLogic Proにも導入されます。
半透明のインターフェースや新しい視覚表現を採用しながら、波形やトラックなど制作に必要な情報を見やすくする方向です。
Logic ProはLogic Pro X以降、基本的なレイアウトを維持しながら少しずつUIを更新してきました。
今回は比較的大きなデザイン変更になる可能性があります。
Voice Memoとの連携も強化
iPhoneで録音したVoice MemoをLogicへ持ち込むワークフローも強化されます。
対応する録音では、
Studio Sound
を利用して、背景ノイズや部屋鳴りなどを抑えることができます。
これは本格的なスタジオ録音を置き換えるための機能というより、
アイデアを録る
↓
Logicへ送る
↓
ある程度聞きやすくする
↓
そのまま制作へ発展させる
というワークフローに向いています。
思いついたメロディやコード進行をiPhoneで録音しておき、それをLogicのプロジェクトへ発展させる使い方には便利でしょう。
Sergio George Producer Packも追加
新しいProducer Packとして、Sergio Georgeによるコンテンツも追加されます。
Latin JazzやSalsaを中心に、
Piano
Percussion
Brass
Bass
などの素材が収録されます。
単なるLoop追加ではありますが、今回の新しいBrowserと組み合わせることで、素材そのものを探しやすくなる点もポイントです。
Logic Proでは音源やLoopの数が増え続けています。
今後は、
「音を増やす」以上に「増えた音をどう探すか」
が重要になっていくのでしょう。
Logic Pro 13は「音源追加型」のアップデートではない
ここまで見てくると、今回のアップデートにはひとつ特徴があります。
現時点で発表されている内容では、
大型シンセ
大型サンプラー
新しいアンプシミュレーター
新しいミキシングエンジン
といったものが中心ではありません。
むしろ、
今ある素材や機能をどう使うか
という部分が強化されています。
Intelligent Assistantは操作を支援する。
Music Understandingは音を探す。
Stem Splitterは既存の音を再構築する。
つまりLogic Pro 13は、
「新しい音を増やすアップデート」ではなく「制作の仕方を変えるアップデート」
と見る方が分かりやすそうです。
Logic Pro 11、12、13の流れを見る
Logic Proの近年の進化を並べてみると、Appleが何を目指しているのかがかなり見えてきます。
Logic Pro 11では、
Session Players
Stem Splitter
Chord Track
などが登場しました。
Logic Pro 12では、
Synth Player
Chord ID
Sound Libraryの強化
などが追加されます。
そしてLogic Pro 13では、
Intelligent Assistant
Music Understanding
Stem Splitterの高度化
へ進みます。
まとめると、
Logic Pro 11
AIを制作へ導入
↓
Logic Pro 12
AIに音楽を理解させる
↓
Logic Pro 13
AIに制作そのものを支援させる
という流れです。
今回、一番気になる機能はどれか
個人的に実際の音楽制作で最も気になるのは、ドラムまで細かく分離できるStem Splitterです。
Intelligent Assistantは非常に大きな技術ですが、少なくとも初期段階では環境や言語の制約があります。
一方Stem Splitterは、実際の音そのものを加工する機能なので、用途が非常に分かりやすい。
過去の楽曲の再編集。
サンプリング。
リミックス。
ドラム素材の再構築。
こういった作業では、かなり強力なツールになりそうです。
そして長期的にはMusic UnderstandingによるBrowserの進化も重要でしょう。
音源やサンプルが増え続ける現在、
「持っている音を探す時間」
は意外に大きな問題です。
AIによってこの時間を短縮できるのであれば、制作効率への影響はかなり大きくなります。
まとめ――Logic Proは「操作するDAW」から変わり始める
Logic Pro 13について現時点で分かっている内容を見ると、単純な大型アップデートというより、
Logic ProというDAWの使い方そのものが少しずつ変わり始めている
ように感じます。
これまでは人間が機能を覚え、メニューから探し、自分で操作していました。
これからは、
「こういうことをしたい」
と伝えれば、DAW側がその方法を支援する。
音を探す場合も、ファイル名やカテゴリーではなく、音楽そのものを解析して候補を提示する。
そして完成済みの音源でさえ、AIによって再び編集可能な素材へ戻していく。
Logic Pro 13は、
AIが音楽を作るDAW
というより、
AIが音楽制作を理解するDAW
へ進むアップデートと表現する方が近いのかもしれません。
まだ正式リリース前なので、実際の操作感や精度については確認が必要です。
特にIntelligent AssistantがどこまでLogicの操作を理解し、どの程度実用的に使えるのか。
そしてStem Splitterのドラム分離精度がどこまで上がっているのか。
このあたりは実際にLogic Pro 13が公開された後、改めて検証してみたいと思います。