生成AI時代だからこそVOCALOIDが面白い――VOCALOID7発売を前に考える「歌声合成」の現在地


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2026年11月11日、ヤマハから「VOCALOID7」が発売されます。

VOCALOID6から約4年ぶりとなるメジャーバージョンアップです。

今回のVOCALOID7では、第二世代となる「VOCALOID」合成エンジンを採用。発音やアーティキュレーションを調整する「ATTACK」、同じボイスバンクの中で声質を切り替えられる「VOICE TYPE」、生成されたピッチカーブを保持する機能などが追加されています。

通常版VOCALOID7 Editorは16,500円(税込)、アップグレード版は8,580円(税込)。さらに2026年11月11日から12月20日までは、アップグレード版が5,500円(税込)で販売されます。

対象はVOCALOID3~VOCALOID6、およびVOCALOID Editor for Cubaseのユーザーで、Tiny VOCALOID3 Editor、VOCALOID6 Editor Lite、VOCALO CHANGER PLUGINは対象外です。また、VOCALOID3~6のボイスバンクもVOCALOID7 Editor上で引き続き利用できます。旧世代のボイスバンクについては、それぞれ対応する世代の合成方式で発音されます。

私自身もVOCALOID6ユーザーです。

もともとは「VOCALOID6 Starter Pack AI 音街ウナ Sugar / Spicy / Complete」を購入し、そこからさらに13種類のボイスバンクを追加してきました。

そこで最初に気になったのが、

「Starter Packに付属していたVOCALOID6 Editorでも、VOCALOID7のアップグレード版を購入できるのか?」

という点でした。

結論から言えば、問題ありません。

Starter Packに付属しているのはVOCALOID6 Editor Liteではなく、正規のVOCALOID6 Editorです。そのため通常のアップグレード対象になります。

株式会社インターネットでは、2026年9月9日以降に対象となるVOCALOID6 Starter Packをユーザー登録したユーザーに対し、VOCALOID7 Editorへの無償バージョンアップも案内しています。対象製品には「VOCALOID6 Starter Pack AI 音街ウナ Sugar / Spicy / Complete」も含まれています。

私はそれよりかなり以前から使用しているため、この無償バージョンアップではなく、発売直後の5,500円のアップグレード版を利用することになりそうです。

13種類の追加ボイスバンクをそのまま持っていけることを考えれば、かなり導入しやすいアップデートです。


しかし今回、気になっているのは新機能だけではない

VOCALOID7のニュースを見ながら、私は別のことを考えていました。

それは、

生成AIが普及した今だからこそ、VOCALOIDの立ち位置が以前より面白くなってきたのではないか。

ということです。

少し前まで、歌声合成の世界ではSynthesizer Vの存在感が急速に大きくなっていました。

特にSynthesizer V Studio 2 Proでは、発音やピッチ、表現力、AIリテイクなどがさらに進化し、「どこまで自然な歌声を作れるか」という点では非常に高い水準まで来ています。Dreamtonics自身もVersion 2の大きなテーマとして音質と表現力の向上を掲げています。

私自身も現在Synthesizer V 2 PROをかなり使用しています。

一時期は、

「VOCALOIDよりSynthVのほうが次世代なのではないか」

と感じたユーザーも少なくなかったのではないでしょうか。

ところが、その後Sunoをはじめとする生成AI音楽が急速に広がりました。

ここで、状況が少し変わってきたように感じています。


SynthVに興味を持った人が、さらにSunoへ向かっていく

これはあくまで私が周囲を見ていて感じていることですが、SynthVに強く興味を持っていたユーザーの中には、その後Sunoなどの生成AI音楽へ関心を移していった人もいます。

考えてみれば、それほど不思議な流れではありません。

SynthVが登場したときの大きな魅力のひとつは、

「AIによって、どこまで人間らしい歌唱を作れるか」

という点でした。

そこからさらに、

「歌唱だけではなく、伴奏もアレンジも含めてAIに生成させられる」

となれば、その方向に興味が移るユーザーがいるのは自然なことです。

現在のSunoは、単にプロンプトから曲を生成するサービスにとどまりません。

Studio 2.0ではMIDI、ピアノロール、シンセサイザー、オートメーション、ステム分離などまで搭載され、生成AIを中心とした総合的な音楽制作環境へと進化しています。

つまりSunoは、

「生成される曲全体のクオリティをどこまで上げられるか」

という方向へ進んでいるように見えます。


それに対してSynthVは「歌声だけ」を極められる

ここで逆にSynthVの立ち位置も明確になってきます。

Sunoが改善しなければならない対象は非常に広い。

ボーカルだけではありません。

ギター、ベース、ドラム、ピアノ、ストリングス、アレンジ、音像、ミックス、マスタリング……。

最終的な「一曲」を生成する以上、そのすべてを高品質にしていく必要があります。

一方、SynthVは違います。

基本的には、

「歌声というひとつの音源を、どこまで高品質にできるか」

に集中できます。

これは今後、かなり重要な違いになると思っています。

私はSynthesizer V 2 PROについて、すでに自然さという点では相当高いレベルに達していると感じています。

だからこそ次に期待しているのは、新しいボイスの数よりも音響品質そのものです。

実際に制作していると、条件によってはモジュレーションノイズのような人工的な質感が気になることがあります。

長い持続音、微細なピッチ変化、特定の発声などをソロで聴いたとき、

「人間らしいかどうか」

とは別の意味で、

「録音されたボーカルトラックとして十分な品質なのか」

という問題が見えてきます。

ここから先のSynthVに必要なのは、単純にさらに人間らしくすることではないのかもしれません。

持続音の質感、倍音の連続性、母音の安定性、子音から母音への接続、高域のノイズ感、ピッチ変化に伴う音色の変化。

そうした部分をさらに磨いて、

商用ミックスのセンターに置いても違和感のない仮想ボーカリスト

へ進んでいくこと。

個人的には、新しいボイスを次々と増やすこと以上に、こちらへ開発リソースを注いでほしいと思っています。

その次のステージが、将来もし「Synthesizer V Studio 3 Pro」という形で登場するとすれば、私は機能の数よりも、こうした音響エンジンそのものの進化に期待します。


そして生成AIの登場で、VOCALOIDが逆に「人間側」に見えてきた

ここが今回、一番面白く感じているところです。

かつてVOCALOIDは、

「機械に歌わせる音楽」

の象徴でした。

初音ミクが登場した頃には、

「こんな機械的な声をなぜ聴くのか」

という反応もありました。

ところがSunoのような生成AIが登場した現在、VOCALOIDをあらためて見てみると印象が変わります。

VOCALOIDでは、

メロディを作る。

歌詞を書く。

音符を入力する。

歌詞を割り当てる。

発音を修正する。

ピッチを作る。

声色を調整する。

そして伴奏を作り、ミックスする。

こうして並べてみると、

ものすごく人間が作業しています。

少し皮肉な話です。

以前は「機械的」と言われたVOCALOIDが、生成AI時代には逆に非常に手作業的な制作ツールに見えてくる。

私はかなり以前から、生成AIが広がれば広がるほど、いつかVOCALOIDの存在感が再び大きくなる可能性があるのではないか、と考えていました。

もちろん、現時点で「逆転した」などと言えるものではありません。

ユーザー数や市場規模の話でもありません。

ただ少なくとも、

生成AIによる音楽制作と、人間が操作する歌声合成との間に、以前よりはっきりとした対角線が見えてきた

ように感じています。


VOCALOIDは「人間らしさ」を競わなくてもいいのかもしれない

そしてVOCALOIDには、SynthVとも少し違う特徴があります。

それがキャラクターです。

初音ミク。

GUMI。

音街ウナ。

結月ゆかり。

氷山キヨテル。

VOCALOIDでは「どんな声なのか」と同時に、

「誰が歌っているのか」

が作品の一部になります。

必ずしも究極的に人間らしい必要はありません。

少し独特な発音があってもいい。

声に癖があってもいい。

場合によっては、その人工的な響きそのものが個性になる。

生成AIが「完成された音楽」を作れる方向へ進むほど、逆に、

キャラクターに自分が歌唱を与える

というVOCALOIDの文化は、他とはかなり異なるものに見えてきます。

VOCALOID7では、好きなイラストをEditor上に表示できる機能まで追加されました。

ヤマハ自身も今回は、VOCALOIDを単なる制作ツールとしてだけではなく、クリエイターとファンが楽しめるプラットフォームとして位置づけています。

これは非常に象徴的な変化だと思います。


これから重要なのは「何でもできること」ではない

現在の音楽制作環境は、明らかに情報過多です。

DAW。

プラグイン。

ソフト音源。

サンプル音源。

歌声合成。

生成AI。

新製品やアップデートをすべて追いかけていたら、ユーザー側が疲れてしまいます。

だから私は今後、

製品側がどれだけ明確な立ち位置を示せるか

が非常に重要になると思っています。

例えば、

Sunoは、音楽全体を生成する。

SynthVは、仮想ボーカリストの品質を極める。

VOCALOIDは、キャラクターに人間が歌唱を与える。

もちろん実際にはそれほど単純ではなく、それぞれの領域は重なっています。

しかしユーザーにとって重要なのは、機能表の項目数ではありません。

「この製品を使えば、自分は何ができるのか」

が理解できることです。

製品の立ち位置が明確になれば、ユーザー自身も、

「自分はどこまでAIに任せたいのか」

を考えやすくなります。

曲そのものを生成してほしいのか。

歌唱だけを任せたいのか。

それともキャラクターに、自分自身で歌を教えたいのか。

これは単なるソフトウェア選びではありません。

最終的には、

「私はどうやって音楽を作りたいのか」

というクリエイター側の立ち位置につながっていきます。


VOCALOID7で本当に確認したいこと

そういう意味でも、私は今回VOCALOID7へアップグレードする予定です。

ただし、発売前の情報だけで結論を出すつもりはありません。

第二世代VOCALOIDによって、実際の歌唱はどの程度変わったのか。

ATTACKは実制作でどこまで使えるのか。

VOICE TYPEによって一つのボイスバンクからどこまで表情を引き出せるのか。

ピッチカーブ保持機能は、歌唱制作のワークフローをどの程度変えるのか。

そして、これまで購入してきたVOCALOID6世代を中心とするボイスバンクをVOCALOID7上で使ったとき、制作環境としてどの程度快適になっているのか。

このあたりは実際に使わなければ分かりません。

特に私の場合、音街ウナのStarter Packから始まり、その後13種類のボイスバンクを追加してきました。

新しい専用ボイスだけではなく、既存の資産を持つユーザーにとってVOCALOID7がどんなアップデートなのかという視点でも確認してみたいと思っています。

11月11日の発売後、実際にVOCALOID7へアップグレードし、音質、操作性、歌唱表現、既存ボイスバンクとの組み合わせなどを制作の中で検証したうえで、改めてレビューする予定です。

そのとき確認したいのは、

「VOCALOID7はSynthVより自然になったのか」

という単純な比較ではありません。

また、

「Sunoより優れているのか」

という話でもありません。

知りたいのは、

VOCALOID7は、生成AI時代にVOCALOIDである意味をどこまで明確にできたのか。

ということです。

AIを使っているか、使っていないか。

もはや、それだけでは音楽制作ツールを区別できない時代になりました。

これから重要になるのは、

AIに何を任せ、人間が何を決めるのか。

そして、それぞれの製品がその境界線をどこに引くのか。

VOCALOID7の登場は、単なる4年ぶりのバージョンアップ以上に、現在の音楽制作における「人とAIの立ち位置」を考える良い機会になるように思っています。

 

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付録ー調声に最適なヘッドフォン!


付録として、お気に入りのお薦めグッズをここに掲載します!

今回は調整作業に使っている、ヘッドフォンです。


僕は基本的にヘッドフォンで音楽を聴くのは好きではなくて、アナログ録音時のモニターか雑音などの最終チェックにしか使いません。

その理由は再生音がヘッドフォンによる特性にかなり左右されるからです。なので制作時にはその目的に応じた音のヘッドフォンを選択することになります。録音時のモニターや雑音を検知するのに適したものを選びます。

ただ、ヘッドフォンはそれほど好きではないのです。空間を介さない直接耳に伝える音なので、どちらかというと好んで使うというよりも、作業工程で仕方なく使うことが多いです。

♡購入までの経緯

最近、SynthesizerVで調声をするようになって、MacBookPROを使用して外出先などでも作業するようになりました。そうするとヘッドフォンは必須となってきます。長時間装着して疲れなければ、まぁイイかくらいで適当に選んでいました。

当初はデザイン性からTeenage Engineering のヘッドフォンを使用していました。オシャレな感じと携帯に便利なので使っていました。ハイがカットされて中低位域がモッコリするのですが、聞き疲れしないので気に入っていました。しかし、カバンに入れて持ち歩いていると可動部分が折れてしまいました。

気に入っていたので(デザインが〜笑)再注文して、ついでにいろいろ検索していると「アシダボックス」なるものを見つけました。ものすごく評判が良くて一時期は入手困難な状態が続いていました。日本のメーカーでデザインがなんともレトロ。

Teenage Engineeringのヘッドフォンよりも安かったのでポチってみました。

♡調声に最適

結論からいいますと、めっちゃイイです。特にSynthesizerVの調声作業にバッチリです!

丁度、人の声の部分が聞きやすくて微細な変化もこのヘッドフォンだと聞き逃すことがないです。SynthesizerVで調声をされている方には、是非是非お薦めのヘッドフォンです。コスパも良いです。

同じデザインで、ST-90-05とST-90-07というのがあります。僕が購入したのはST-90-07のほうです。評判になっていたのはST-90-05のほうなのですが、さらにパーツのグレードを上げて音をよくしたのががST-90-07です。

低域はあんまり出ませんので、そういった需要の音楽には不向きです。声が聴き取りやすいので、調声とは抜群に相性がイイです。先にもいったようにヘッドフォンは、その目的に応じて使うのが理想的で万能性を求めるものではありません。

最初にいったようにヘッドフォンを使うのはあまり好きではないのですが、これはかなりお薦めです。これを使い出してから、SynthesizerVの調声で細部の音の動きに迷うことが減って作業効率が上がりました。

とにかく声の微細な変化がとてもわかりやすいので、是非使ってみてください!


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