『となりのトトロ』を音街ウナと生演奏で──原曲の景色を残しながら、自分の音にする

  • 2026年10月30日
  • 2026年10月30日
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スタジオジブリ作品の中でも、特に多くの人の記憶に残っている曲のひとつが「となりのトトロ」ではないでしょうか。

今回、この曲を音街ウナの歌声でカバーしました。

ボーカルはVOCALOID6版の音街ウナを中心に、一部Synthesizer V 2版も使用しています。

そして今回のアレンジで大切にしたのは、原曲の明るさや親しみやすさを残しながら、単なる打ち込みによる再現ではなく、実際に楽器を演奏することでひとつのバンドとして音楽を組み立てることでした。

ベース、ギター、アコーディオンを中心に、主要な楽器は自分自身で演奏しています。

合成音声だからこそ生演奏を合わせる。

今回は、そんな現在の自分の音楽制作の方向性がかなり素直に表れた作品になったと思います。


音街ウナを選んだ理由

「となりのトトロ」は非常に明るい曲です。

しかし、ただ元気に歌えば成立する曲でもありません。

子供の頃にしか見えないもの。

森の奥に存在する何か。

雨のバス停。

月夜のオカリナ。

歌詞をよく見ると、単純な子供向けの明るい歌というだけではなく、かなり幻想的な世界が描かれています。

その意味で音街ウナの声は、この曲と非常に相性が良いと感じました。

明るく前に出る力がありながら、少し幼さも残っている。

そこに合成音声独特の非現実感が加わることで、人間の歌声とは少し違う「森の中の物語」が生まれます。

今回はVOCALOID6をメインに使用し、一部にSynthesizer V 2を組み合わせています。

どちらか一方を使うことそのものを目的にするのではなく、それぞれの声の特徴を必要な場所で使う。

音声合成ソフトも、私にとっては「完成品を自動的に作ってくれるもの」というより、ひとつの楽器に近い存在になっています。


原曲を壊さない。でも、そのままコピーもしない

ジブリ作品をアレンジする時に難しいのは、原曲の完成度が非常に高いことです。

何かを足せば必ず良くなるわけではありません。

むしろ、「何も足さない方が良かった」ということも簡単に起こります。

今回の「となりのトトロ」では、原曲の構造や雰囲気を大きく崩すことはしませんでした。

その一方で、サウンドそのものは少しバンド寄りにしています。

ベースがリズムを前へ押し出し、ギターが曲の輪郭を支える。

そしてその中で、かなり重要な役割を持っているのがアコーディオンです。

アコーディオンを入れることで、原曲とは少し違った温かさと素朴さが生まれました。

今回のアレンジでは、このアコーディオンがひとつの「顔」になっています。


ブラスを足さなかった理由

制作途中では、後半にブラスセクションを加えることも考えました。

曲の後半をより華やかにしようと思えば、方法はいくらでもあります。

しかし実際に考えていくと、ブラスを入れることで音楽が豪華になる一方、今回のアレンジでせっかく生まれたアコーディオンの存在感が薄くなるように感じました。

豪華になることと、良くなることは必ずしも同じではありません。

今回はあくまでバンドとしてのまとまりを優先しました。

音数を増やすよりも、すでに存在しているベース、ギター、アコーディオンがよりしっかり演奏する。

その方が、この曲には合っていると思いました。

結果として、今回の「となりのトトロ」はオーケストラ的な壮大さではなく、演奏者が同じ場所で音を出しているような近さを持ったアレンジになっています。


フェードアウトを残した理由

もうひとつ最後まで迷ったのが、曲の終わり方でした。

当初はイントロで使っているギターのフレーズを最後にもう一度演奏して、明確に曲を終わらせることも考えていました。

その方が、自分のアレンジとしてはまとまりが良くなります。

しかし最終的には、原曲と同じようにフェードアウトを残しました。

今回の作品では、「自分の音にすること」よりも、「となりのトトロという曲が持っている空気を残すこと」を少し優先したかったからです。

ギターで明確に終わらせれば、それだけm.Freaksとしての主張は強くなります。

しかし今回は、森の中へ音楽がそのまま続いていくような終わり方の方が似合う。

そう判断しました。

今後8曲のジブリ・カバー作品がすべて揃った時には、アルバム全体とのバランスを見て別の終わり方を考える可能性もあります。

その意味では、今回のバージョンが最終形とは限りません。


「原曲との距離」をどう設計するか

今回進めているジブリ・カバーでは、すべての曲を同じ方法でアレンジするつもりはありません。

すでに制作した「いつも何度でも」は、比較的原曲のアレンジを尊重したものになっています。

一方、「はにゅうの宿」はかなり大胆に作り変えました。

そして今回の「となりのトトロ」は、そのちょうど中間あたりに位置しています。

原曲の印象は残す。

しかし演奏方法や音の質感は自分のものにする。

この「原曲との距離」は、今後8曲をひとつの作品としてまとめる時に、かなり重要な軸になりそうです。

すべて原曲に忠実でも単調になります。

逆にすべてを大胆に壊してしまうと、ジブリ作品をカバーする意味そのものが薄くなるかもしれません。

曲ごとに「どこまで近づき、どこから離れるか」を考える。

この作業自体が、カバー作品を作る面白さなのだと思います。


MVでは「音街ウナが森へ入っていく物語」を描いた

今回のMVでは、音街ウナを中心にひとつの小さな物語を作りました。

木の実。

小さな芽。

森への道。

雨のバス停。

月夜。

そして不思議な出会い。

歌詞の中にすでに映像的なモチーフがたくさん存在しているため、それを順番に追っていくような構成になっています。

映像の一部には、スタジオジブリ公式で公開されている「となりのトトロ」の作品静止画も使用しました。

ただし、原作画像を中心にMVを作るのではなく、あくまで節目として挿入しています。

音街ウナのいる世界の中へ、ときどき原作の記憶が差し込まれる。

そんな見え方を意識しました。

最後は、夕日の沈む森の中で音街ウナとトトロが並んで佇む後ろ姿。

音楽のフェードアウトに合わせて、映像もそのまま静かに消えていきます。

サムネイルのように一瞬で人を惹きつける絵とは違いますが、MVの最後としては、後ろ姿だからこそ残る余韻があるように思います。

【午後6時半にYouTubeで公開中】↓↓↓


合成音声と「人が演奏すること」

最近は、音楽制作の中でAIや自動生成について考える機会が増えました。

技術が進めば進むほど、少ない手間で完成度の高いものを作れるようになります。

それ自体は非常に面白いことです。

一方で、私は楽器を弾くことをやめたいとは思いません。

むしろ合成音声を使うからこそ、自分でベースを弾き、ギターを弾き、アコーディオンを弾くことに面白さを感じます。

正確さだけなら、打ち込みの方が優れている場合もあります。

しかし演奏には、その瞬間の強さや弱さ、微妙な揺れ、少し先走る感じや遅れる感じがあります。

それらを完全に均してしまわないことで、音楽全体にひとつの人格が生まれます。

音街ウナという合成された歌声と、人間が実際に演奏した楽器。

一見すると正反対のものですが、今回の「となりのトトロ」では、その二つがかなり自然に同じ場所で鳴ってくれたように感じています。


8曲のジブリ・カバーへ

この「となりのトトロ」は、現在進めている8曲のジブリ・カバー企画の一曲です。

それぞれの曲で使う歌声も違えば、アレンジの方向性も変えていきます。

ただし最終的には、バラバラな8曲ではなく、ひとつの作品として聴けるものにしたいと思っています。

今回の「となりのトトロ」で見えてきたのは、生演奏を中心にしたバンド的なサウンドが、そのひとつの軸になり得るということでした。

もちろん、すべてを同じ編成にする必要はありません。

曲によっては、ピアノや弦、木管を中心にした室内楽的なアレンジも考えています。

大切なのは、楽器を増やして豪華にすることではなく、その曲に必要な編成を考えること。

今回の「となりのトトロ」は、その考え方をあらためて確認できた作品でもありました。

原曲への敬意を残しながら、自分の演奏と音街ウナの歌声で、もう一度この森を歩いてみる。

そんな気持ちで聴いていただければ嬉しいです。

金曜日リリース


作品を隔週金曜日にリリースします。
カバー曲やオリジナル曲を毎回リリース!ある程度まとまるアルバムとして再リリースします。また先行してYouTubeチャンネルでプロモーション動画も公開しています!

今後とも応援よろしくお願いいたします!

 音楽配信リンク

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ファイル形式について

非圧縮ファイル:Wavファイル。オリジナルのレコーディングファイル。音質は良いですが容量が大きくなるのとアルバムアートを表示することが出来ません。

可逆圧縮(お薦め):Flac、ALAC(アップルロスレス)。オリジナルの音質を保ったまま圧縮。アルバムアートの表示も可能です。コレクションとして最適です。

非可逆圧縮:AACファイル。非可逆性圧縮で人間の聴覚上ほとんど聞こえない部分をカットしています。容量が小さく出来るので資料としての大量の保存用。

 

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付録ー調声に最適なヘッドフォン!


付録として、お気に入りのお薦めグッズをここに掲載します!

今回は調整作業に使っている、ヘッドフォンです。


僕は基本的にヘッドフォンで音楽を聴くのは好きではなくて、アナログ録音時のモニターか雑音などの最終チェックにしか使いません。

その理由は再生音がヘッドフォンによる特性にかなり左右されるからです。なので制作時にはその目的に応じた音のヘッドフォンを選択することになります。録音時のモニターや雑音を検知するのに適したものを選びます。

ただ、ヘッドフォンはそれほど好きではないのです。空間を介さない直接耳に伝える音なので、どちらかというと好んで使うというよりも、作業工程で仕方なく使うことが多いです。

♡購入までの経緯

最近、SynthesizerVで調声をするようになって、MacBookPROを使用して外出先などでも作業するようになりました。そうするとヘッドフォンは必須となってきます。長時間装着して疲れなければ、まぁイイかくらいで適当に選んでいました。

当初はデザイン性からTeenage Engineering のヘッドフォンを使用していました。オシャレな感じと携帯に便利なので使っていました。ハイがカットされて中低位域がモッコリするのですが、聞き疲れしないので気に入っていました。しかし、カバンに入れて持ち歩いていると可動部分が折れてしまいました。

気に入っていたので(デザインが〜笑)再注文して、ついでにいろいろ検索していると「アシダボックス」なるものを見つけました。ものすごく評判が良くて一時期は入手困難な状態が続いていました。日本のメーカーでデザインがなんともレトロ。

Teenage Engineeringのヘッドフォンよりも安かったのでポチってみました。

♡調声に最適

結論からいいますと、めっちゃイイです。特にSynthesizerVの調声作業にバッチリです!

丁度、人の声の部分が聞きやすくて微細な変化もこのヘッドフォンだと聞き逃すことがないです。SynthesizerVで調声をされている方には、是非是非お薦めのヘッドフォンです。コスパも良いです。

同じデザインで、ST-90-05とST-90-07というのがあります。僕が購入したのはST-90-07のほうです。評判になっていたのはST-90-05のほうなのですが、さらにパーツのグレードを上げて音をよくしたのががST-90-07です。

低域はあんまり出ませんので、そういった需要の音楽には不向きです。声が聴き取りやすいので、調声とは抜群に相性がイイです。先にもいったようにヘッドフォンは、その目的に応じて使うのが理想的で万能性を求めるものではありません。

最初にいったようにヘッドフォンを使うのはあまり好きではないのですが、これはかなりお薦めです。これを使い出してから、SynthesizerVの調声で細部の音の動きに迷うことが減って作業効率が上がりました。

とにかく声の微細な変化がとてもわかりやすいので、是非使ってみてください!


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