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- 1 「AIに演奏させる」のではなく、「自分の演奏を広げる」という発想
- 2 PolySWAMとは何なのか?
- 3 私にとってPolySWAMが面白かった理由
- 4 PolySWAMは「演奏の発想を広げる道具」
- 5 「面」を作るPolySWAM、「線」を描く通常のSWAM
- 6 SWAM String Sectionsはどこに置くのか?
- 7 「PolySWAM → 通常SWAM」という流れ
- 8 もう一つ見えてきたDivisimateという選択肢
- 9 だから、PolySWAMとDivisimateは競合しない
- 10 Instrument Xが注目される今、なぜPolySWAMなのか
- 11 AI時代だからこそ「自分で弾く」ことに意味がある
- 12 「一つの音源で完成させる」必要はない
- 13 PolySWAMは「AI時代の新しい楽器」かもしれない
- 14 付録ー調声に最適なヘッドフォン!
「AIに演奏させる」のではなく、「自分の演奏を広げる」という発想

2026年、音楽制作の世界ではAIを使った新しい音源や音楽制作ツールが次々と登場しています。
その中でもDreamtonicsの「Instrument X」は、とても興味深い存在です。
人間が音符を書き、AIを利用したニューラル・アコースティック・モデリングによって、生楽器らしい演奏を生成する。
「AIに音楽を作らせる」のではなく、「AIに演奏させる」。
これは従来のAI作曲サービスとは少し違ったアプローチです。
一方で、現在私が実際に触ってみたいと思ったのは、Instrument Xではなく、Audio Modelingの新しい「PolySWAM」でした。
Instrument Xには技術的な面白さを感じます。しかし、実際の自分の制作環境に取り入れることを考えると、今のところ強く惹かれるのはPolySWAMの方です。
今回は、PolySWAMを実際に試してみて感じたこと、そしてこれまで使ってきたAudio ModelingのSWAMシリーズを含め、今後どのように使い分けていけそうかを考えてみたいと思います。
Audio Modeling:https://audiomodeling.com/
PoaySWAM:https://audiomodeling.com/products/polyswam
PolySWAMとは何なのか?
Audio ModelingのSWAMシリーズは、これまで基本的に「一人の奏者」を非常に細かくコントロールすることに強みを持っていました。
ViolinならViolin奏者。
CelloならCello奏者。
TrumpetならTrumpet奏者。
そしてCC11などのMIDIコントロールを使いながら、ダイナミクスやアタック、ビブラート、ポルタメントなどをリアルタイムに操作し、演奏そのものを作り込んでいきます。
私はこのSWAMの考え方がとても好きです。
単純に「リアルな音を出す音源」というよりも、
「自分が仮想的な演奏者になる」
という感覚があるからです。
ところがPolySWAMは、そこから少し発想が変わります。
複数のSWAMエンジンを組み合わせ、コードなどの複数音を演奏できるようにすることで、これまで単音を中心に扱ってきたSWAMを、より自由なアンサンブル演奏へと広げています。
つまり、
一人の演奏者を操作するSWAMから、複数の演奏者をまとめて動かすSWAMへ。
これがPolySWAMの大きな魅力だと感じました。
私にとってPolySWAMが面白かった理由
実際にPolySWAMのBeta版を試してみて、最初に感じたのは、
「これは自分の制作環境にかなり合う」
ということでした。
私は普段から、すべてをコンピューターの中で完結させることをあまり目的にしていません。
ピアノ、ギター、ベース、ドラムなどの実際の楽器を使い、その上にSynthesizer Vなどの歌声を置き、必要なところにソフトウェア音源を加えていく。
そして、音源や楽器を「全部使い切る」のではなく、それぞれの個性を必要な部分だけ利用する。
以前から私は、
「核となる部分はそのままに、景色を変えていく」
という考え方で制作しています。
海を描くのか。
森を描くのか。
風を描くのか。
同じ曲の核を残したまま、その時に使う楽器や機材によって音の風景を変えていく。
PolySWAMは、この考え方と非常に相性が良いように感じました。
PolySWAMは「演奏の発想を広げる道具」
PolySWAMを使うとき、私は最初から「完成されたストリングスアレンジを作ろう」と考えなくてもいいのではないかと思っています。
例えばピアノでコードを弾いてみる。
そのコードにPolySWAMを反応させる。
すると、
「この和音なら弦がこう動くと面白い」
という発想が、その場で生まれてくる。
これは一音ずつMIDIを入力してストリングスを組み立てていくのとは、少し違った感覚です。
重要なのは、PolySWAMが「正解のアレンジ」を作ってくれるわけではないこと。
自分が演奏したものを、複数の仮想奏者によるアンサンブルへと広げてくれる。
だからこそ、私はPolySWAMをAI作曲ツールとは考えていません。
あくまで、
自分の音楽的な入力を、別の演奏へ変換する楽器
として考えています。
「面」を作るPolySWAM、「線」を描く通常のSWAM
ここで、これまでのSWAMシリーズとの使い分けも見えてきます。
私はPolySWAMを、
「面を作る楽器」
として考えると非常に分かりやすいと思います。
一方、従来のSWAM Solo Instrumentsは、
「線を描く楽器」
です。
例えば、
PolySWAM
- コード
- パッド
- ストリングスの厚み
- アンサンブル
- 内声
- 背景の動き
通常のSWAM
- メロディ
- 対旋律
- ソロ
- 特徴的なフレーズ
- ポルタメント
- ビブラート
- 細かなダイナミクス
という使い分けです。
PolySWAMで大きな「面」を作り、その中に通常のSWAMで一本の「線」を描く。
この組み合わせはかなり強力だと思います。
SWAM String Sectionsはどこに置くのか?
ここは少し難しいところです。
私はAudio ModelingのSWAMシリーズを一通り所有しています。
その中にはSWAM String Sectionsもあります。
しかし、これまでは「ストリングスアンサンブル音源をどう使うか」というところで、少し悩むことがありました。
通常のSWAM Solo Instrumentsなら、
「このフレーズをViolinに弾かせたい」
という目的が非常に明確です。
ところがString Sectionsの場合、
「ストリングスでコードを鳴らしたい」
だけなら、PolySWAMの方が自然に感じられる。
そこで、String Sectionsについては別の考え方ができると思っています。
それは、
「ストリングスを演奏する」のではなく、「ストリングスがそこにいる状態を作る」
という使い方です。
Aメロではほとんど聴こえない。
Bメロで少しだけ現れる。
サビで広がる。
最後のフレーズだけ少し前に出てくる。
このように、ストリングスそのものを主役にするのではなく、曲の景色を変えるために使う。
そう考えると、String Sectionsの役割もかなり明確になります。
「PolySWAM → 通常SWAM」という流れ
例えばPolySWAMでストリングス全体を作ったとします。
その結果を聴いて、
「全体としてはいいけれど、サビの最後にもう少し人間らしい動きが欲しい」
と感じたら、その部分だけ通常のSWAM Violinを追加する。
PolySWAMでアンサンブル全体を作り、
通常のSWAMで一人の演奏者を追加する。
すると、
「ストリングスが鳴っている」
から、
「ストリングスの中に、一人の演奏者がいる」
へと変わります。
この違いはかなり大きいと思います。
そして、ここで通常のSWAMの細かな演奏コントロールが生きてきます。
もう一つ見えてきたDivisimateという選択肢

実は私は以前、Audio Modelingの音源などを使って、単音しか演奏できない音源を複数組み合わせてポリフォニックな演奏を作るために「Divisimate」を購入していました。
しかし、PolySWAMを実際に触ってみると、
「Divisimateの出番がなくなるのでは?」
とも感じました。
確かに、SWAMだけでポリフォニックな演奏を作りたいのであれば、PolySWAMの方が圧倒的にシンプルです。
しかし、DivisimateにはPolySWAMにはない面白さがあります。
それは、
異なる音源を一つのアンサンブルとして扱えること。
例えば、ピアノで4音のコードを弾く。
その4音をDivisimateで分散させ、
- Violin → Audio Modeling
- Viola → 別メーカーの音源
- Cello → 別の音源
- Bass → また別の音源
というように、異なる音源へ振り分ける。
すると、単純な「ポリフォニック化」ではなく、
異なる音源による仮想アンサンブル
を作ることができます。
これはPolySWAMとは違う方向性です。
PolySWAMが、
「複数のSWAM奏者を一つの楽器として扱う」
ものだとすれば、Divisimateは、
「異なる楽器・異なる音源を、一つの演奏として組み合わせる」
ための道具と考えることができます。
Divisimate:https://divisimate.com/
だから、PolySWAMとDivisimateは競合しない
今のところ私は、次のように整理するのが面白いと思っています。
PolySWAM
→ 自分の演奏をSWAMアンサンブルへ広げる
通常のSWAM Solo
→ 一人の仮想奏者を細かく演奏する
SWAM String Sections
→ ストリングスが存在する空間・景色を作る
Divisimate
→ 異なる音源を一つのアンサンブルとして組み合わせる
この4つは似ているようで、実は役割が違います。
そして、これによって「全部を使わなければならない」という考え方からも自由になれます。
Instrument Xが注目される今、なぜPolySWAMなのか
ここが今回、一番書きたかった部分です。
Instrument Xは非常に興味深い製品です。
AIを利用して生楽器の演奏を生成する。
しかもDreamtonicsは、Instrument Xについて「自動作曲も自動音楽生成も行わず、音符を入力して制御するのはユーザー自身」という位置づけを明確にしています。
つまり、従来のAI作曲サービスとは違い、
人間が作曲し、AIが演奏する
という新しい関係を提示しています。
一方、PolySWAMが面白いのは、
人間が演奏し、その演奏を複数の仮想奏者へ広げる
という方向性です。
似ているようで、少し違います。
Instrument Xは、
「誰が演奏するのか?」
という問いに対して、AIという新しい演奏者を提示する。
PolySWAMは、
「自分の演奏を、何人の演奏者に広げられるか?」
という方向へ進んでいるように感じます。
私は後者の方が、今の自分の制作には自然でした。
AI時代だからこそ「自分で弾く」ことに意味がある
AIによって、音楽制作はこれからさらに便利になっていくでしょう。
しかし、便利になることと、面白い音楽が作れることは、必ずしも同じではありません。
私自身は、AIを使わないことを目的にしているわけではありません。
むしろ新しい技術には興味があります。
ただ、
「自分が何をするのか」
という部分は、できるだけ残しておきたい。
ピアノを弾く。
ギターを弾く。
ベースを弾く。
MIDIコントローラーを動かす。
そして、その結果をソフトウェア音源に演奏させる。
こうした「人間の入力」が音楽制作の中心に残っていることに、私は面白さを感じます。
PolySWAMは、その部分を奪うのではなく、むしろ広げてくれる。
だから私は、この音源に興味を持ちました。
「一つの音源で完成させる」必要はない
最近の音源は、非常に高機能です。
一つの製品だけで、巨大なオーケストラを構築できるものもあります。
しかし私は、必ずしもそれが最良の制作方法だとは思っていません。
むしろ、
一つの音源ですべてを完成させない。
その方が、自分の音楽には合っているように思います。
PolySWAMでアンサンブルを作る。
通常のSWAMで一人だけ目立つ奏者を作る。
String Sectionsで空間を広げる。
Divisimateで別メーカーの音源を混ぜる。
そして、その横には実際に弾いたギターやベース、ピアノがある。
こうした異なるものが一つの曲の中に共存することで、音楽に「癖」が生まれます。
そして、その癖こそが、その作品の個性になるのではないでしょうか。
PolySWAMは「AI時代の新しい楽器」かもしれない
PolySWAMをAI音源と呼ぶ必要はありません。
しかし、私はPolySWAMのような考え方が、これからの音楽制作にとって非常に重要になると思っています。
それは、
人間が入力することを前提に、ソフトウェアがその可能性を拡張する
という考え方です。
人間がコードを弾く。
PolySWAMが複数の奏者へ広げる。
通常のSWAMがその中の一人を細かく表現する。
Divisimateが異なる音源を組み合わせる。
そして最後に、人間が「これは面白い」「これは違う」と判断する。
そこにはまだ、
作曲者の意思決定
があります。
AIが音楽を作るのか、人間が音楽を作るのか。
そんな二択だけで考える必要はないのかもしれません。
重要なのは、
人間の音楽的な意思を、テクノロジーがどのように拡張できるのか。
PolySWAMを試してみて、私はそんなことを考えるようになりました。
そしてこれからも私は、
核となる音楽は自分で作り、その周りの景色を、楽器や機材やソフトウェアによって変えていく。
そんな制作を続けていきたいと思っています。
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付録ー調声に最適なヘッドフォン!
付録として、エムフリお気に入りのお薦めグッズをここに掲載します!
今回は調整作業に使っている、ヘッドフォンです。
僕は基本的にヘッドフォンで音楽を聴くのは好きではなくて、アナログ録音時のモニターか雑音などの最終チェックにしか使いません。
その理由は再生音がヘッドフォンによる特性にかなり左右されるからです。なので制作時にはその目的に応じた音のヘッドフォンを選択することになります。録音時のモニターや雑音を検知するのに適したものを選びます。
ただ、ヘッドフォンはそれほど好きではないのです。空間を介さない直接耳に伝える音なので、どちらかというと好んで使うというよりも、作業工程で仕方なく使うことが多いです。
♡購入までの経緯
最近、SynthesizerVで調声をするようになって、MacBookPROを使用して外出先などでも作業するようになりました。そうするとヘッドフォンは必須となってきます。長時間装着して疲れなければ、まぁイイかくらいで適当に選んでいました。
当初はデザイン性からTeenage Engineering のヘッドフォンを使用していました。オシャレな感じと携帯に便利なので使っていました。ハイがカットされて中低位域がモッコリするのですが、聞き疲れしないので気に入っていました。しかし、カバンに入れて持ち歩いていると可動部分が折れてしまいました。
気に入っていたので(デザインが〜笑)再注文して、ついでにいろいろ検索していると「アシダボックス」なるものを見つけました。ものすごく評判が良くて一時期は入手困難な状態が続いていました。日本のメーカーでデザインがなんともレトロ。
Teenage Engineeringのヘッドフォンよりも安かったのでポチってみました。
♡調声に最適
結論からいいますと、めっちゃイイです。特にSynthesizerVの調声作業にバッチリです!
丁度、人の声の部分が聞きやすくて微細な変化もこのヘッドフォンだと聞き逃すことがないです。SynthesizerVで調声をされている方には、是非是非お薦めのヘッドフォンです。コスパも良いです。
同じデザインで、ST-90-05とST-90-07というのがあります。僕が購入したのはST-90-07のほうです。評判になっていたのはST-90-05のほうなのですが、さらにパーツのグレードを上げて音をよくしたのががST-90-07です。
低域はあんまり出ませんので、そういった需要の音楽には不向きです。声が聴き取りやすいので、調声とは抜群に相性がイイです。先にもいったようにヘッドフォンは、その目的に応じて使うのが理想的で万能性を求めるものではありません。
最初にいったようにヘッドフォンを使うのはあまり好きではないのですが、これはかなりお薦めです。これを使い出してから、SynthesizerVの調声で細部の音の動きに迷うことが減って作業効率が上がりました。
とにかく声の微細な変化がとてもわかりやすいので、是非使ってみてください!
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