VSLのポイントで何を買う?――Spitfire、EastWestと比較して見えてきたオーケストラ音源の選び方


PayPal で支援する

musicfreaks.jpの活動をご支援頂けましたら幸いです。ひとつひとつのご支援が大きな励みとなります。どうか、よろしくお願いいたします。


Amzonタイムセール☆今すぐチェック!

☆------------------------------------------------☆

 

スクリーンショット 2026-10-09 6.02.33.

VSL(Vienna Symphonic Library)からポイントに関する案内が届きました。

私が現在持っているVSLのポイントは、かなりの額です。

しかも、このポイントには使用期限があります。

こうなると当然、

「さて、何を買おう?」

と考えます。

せっかく持っているポイントなのだから、有効に使いたい。

ところがVSLのライブラリを改めて眺めてみると、少し困ったことに気がつきました。

欲しいものはある。でも、「これがないと困る」というものがほとんどない。

ここから今回の話が始まりました。

VSLで何を買うかを考えていたはずなのに、いつの間にかSpitfire AudioやEastWestまで含めて、

「そもそもオーケストラ音源は、何を基準に選べばいいのだろう?」

と考えるようになったのです。


必要なものは、すでにかなり揃っている

私の場合、VSLのピアノ音源はほぼ揃っています。

残っているものとしてはStudio FazioliやPrepared Pianoなどがあります。

もちろん魅力はあります。

特にPrepared Pianoなどは、普通のピアノとはまったく違う発想につながる可能性があります。

ただし、

「今の制作環境に足りないものを補うために必要か?」

と聞かれれば、答えは少し違います。

オーケストラについても同様です。

以前のBBO系はかなり揃っていますし、Synchron Elite Stringsなど、今でも実際によく使うライブラリがあります。

新しい音源には新しい魅力があります。

操作しやすくなっていたり、録音や編成が違ったり、より完成された形で音を作りやすくなっていたりする。

しかし、すでに十分な音源を持っている状態で、

「もっと新しいヴァイオリン」
「もっと新しいブラス」
「もっと新しいオーケストラ」

と買い足していくことが、本当に今の自分に必要なのか。

そこで、一度考え方を変えてみることにしました。


「持っていないもの」ではなく「違うもの」を探す

音源を揃え始めた頃は、

「この楽器を持っていないから買う」

という理由が成立します。

弦がない。

ブラスがない。

木管がない。

ピアノがない。

だから買う。

これは非常に分かりやすい。

でも、ある程度音源が揃ってくると、状況が変わります。

必要なものは、すでにある。

そこで重要になってくるのが、

「今持っているものとは何が違うのか」

という視点です。

この考え方でVSLを見ていると、自然にSpitfire AudioやEastWestとの違いについても考えることになりました。


3社は「同じオーケストラ」ではない

私はVSLだけでなく、Spitfire AudioやEastWestのオーケストラ音源も使っています。

当然ですが、どのメーカーにも多くの製品があり、すべてを一つの性格で括ることはできません。

それでも、長く使っていると、それぞれに異なる設計思想のようなものを感じます。

あえて大きく整理するなら、私の印象はこうです。

VSLは「精度とコントロール」

Spitfireは「空間と空気感」

EastWestは「スケールとインパクト」

もちろん、これは優劣ではありません。

重要なのは、

同じ旋律を書いても、どの音源を開くかによって、自分が思い描く音楽そのものが変わる

ということです。


VSL――演奏そのものを組み立てていく

Veo image link v3 ADoeiodD96.

VSLを使っていて特に優れていると感じるのが、演奏表現を自分で細かく組み立てられることです。

Synchron Playerでは、膨大なアーティキュレーションを階層的に整理し、それをキー、MIDI CC、クロスフェードなどさまざまな方法で制御できます。VSL自身も、このDimension TreeをSynchron Playerの中心的な仕組みとして設計しています。

そのため、

「ヴァイオリンを鳴らす」

というより、

「ヴァイオリンをどう演奏させるか」

を考えながら制作する感覚があります。

私はこの部分がVSLの大きな魅力だと思っています。

音を細かく追い込みたいとき、

クラシカルな表現を作り込みたいとき、

演奏ニュアンスを自分でコントロールしたいとき。

VSLは非常に強力です。

言い換えれば、完成した音を受け取るというよりも、

仮想的な演奏家を自分でディレクションしていく

という感覚に近いのです。


Spitfire――音を鳴らした瞬間に「場所」が見える

Smc0634 cinemascope press.

一方、Spitfire Audioを使っていると、VSLとは違った方向から音楽を考えさせられることがあります。

私が特に感じるのは、

空間そのものが音楽の一部になっている

ということです。

もちろん、Spitfireにもさまざまな製品があります。

しかし、音を鳴らした瞬間に、その楽器だけではなく、

距離。

部屋。

空気。

残響。

そして、その場所に演奏者がいる感覚。

そうしたものまで一緒に立ち上がってくるライブラリが多い。

VSLで、

「この音をどう演奏させるか」

と考えることが多いとすれば、

Spitfireでは、

「この音が鳴っている場所で、どんな音楽が聞こえるか」

と考えることがあります。

この違いは意外に大きい。

同じコード、同じ旋律でも、使う音源によって次に書きたくなる音が変わるからです。


EastWest――大きな画面を描きたくなる

Home_ho opus tec winner 2022_header_4@2x.

EastWest、特にHollywood系には、さらに違う感覚があります。

私自身Hollywood Symphonyなどを使っていますが、VSLやSpitfireとはかなり異なる音の存在感があります。

大きな編成。

音の厚み。

強い押し出し。

そして、映画音楽的なスケール。

もちろん繊細な表現もできますが、EastWestを開くと、

もっと大きな画面で音楽を考えたくなる

ことがあります。

これは「音が派手」というだけの話ではありません。

その音源が持っているキャラクターによって、作曲する側の発想まで変わってくる。

ここに、複数のオーケストラ音源を持つ意味があるのだと思います。


音質比較だけでは見えない「ワークフロー」

オーケストラ音源を比較すると、

「どれが一番リアルか」

「どれが一番音が良いか」

という話になりがちです。

しかし、実際の制作ではもう一つ、とても重要な要素があります。

それが、

アーティキュレーションをどう管理するか

です。

例えばヴァイオリンだけでも、

Legato
Sustain
Staccato
Spiccato
Pizzicato
Tremolo

など、多くの奏法があります。

オーケストラを打ち込むという作業は、単に音符を入力することではなく、

大量の奏法をどう整理するか

という作業でもあります。

そして、ここでVSL、Spitfire、EastWestだけでなく、使用するDAWによる違いまで出てきます。


Sound Variationsは確かに便利

例えばSound Variationsを利用できる環境なら、

Violin 1

という一つのトラックの中で、

Legato
Staccato
Pizzicato

と奏法を切り替えることができます。

Spitfire AudioもStudio One系のSound Variationsを使ったアーティキュレーション切り替え方法を公式に案内しており、キースイッチやCCなどをSound Variationsへマッピングして使用できます。

制作中には、これは非常に便利です。

トラック数を増やさず、同じ楽器として音楽を考えられる。

特にVSLのようにアーティキュレーションの多い音源では、大きなメリットがあります。

私の環境でも、Fender Studio(旧Studio One)とVSLの組み合わせでは、このあたりが非常に扱いやすいと感じています。

しかし、ここで一つ疑問が出てきます。

便利だからといって、常にそれが最も分かりやすい方法なのか?

ということです。


作るときに便利な方法と、直すときに便利な方法

例えば、

Violin 1

という一つのトラックの中に、LegatoもStaccatoもPizzicatoも入っているとします。

曲を作っている最中は非常にスマートです。

ところが数日後、あるいは数か月後にプロジェクトを開いて、

「ここのPizzicatoだけ少し修正したい」

となった場合。

トラックそのものを見ただけでは、どこに何があるのか分かりません。

それに対して、

Violin 1 – Legato
Violin 1 – Staccato
Violin 1 – Pizzicato

と分かれていれば、一目で分かります。

トラック数は増えます。

しかし、

プロジェクトの構造が視覚化される。

これは制作後半になるほど大きなメリットになります。

つまり、

作曲中の効率と、後からの編集効率は必ずしも同じではない

ということです。


「奏法=トラック」という、あえて単純な方法

そこで最近、改めて合理的だと思うようになったのが、

アーティキュレーションごとにトラックを分ける

という昔ながらの方法です。

ある意味では原始的です。

しかし、この方法には大きなメリットがあります。

メーカーにもDAWにも依存しにくい。

VSLでも使える。

Spitfireでも使える。

EastWestでも使える。

Digital Performerでも。

Ableton Liveでも。

Fender Studioでも。

同じ考え方で管理できます。

私は複数のDAWを使うので、このメリットはかなり大きいと感じます。


DAWが変われば、「便利」の意味も変わる

Sound Variationsのような仕組みは、一度きちんと設定してしまえば便利です。

しかし、DAWによっては自分でマッピングを作る必要があります。

ライブラリを頻繁に使うのであれば、その手間をかける価値は十分にあります。

でも、

「このプロジェクトで一度だけ使う」

という音源ならどうでしょう。

アーティキュレーションを登録して、動作を確認して、設定を保存して……。

それなら最初からトラックを3本作った方が早い場合もあります。

重要なのは、

機能を使うことではなく、音楽を作ること

です。

便利な機能ほど、使うこと自体が目的になってしまうことがあります。

だから私は、

「このDAWならSound Variations」

「このプロジェクトならトラック分け」

というように使い分けてもいいと思っています。


EastWestは別パッチだから不便、とは限らない

EastWestについては、さらに少し事情が違います。

Hollywood Orchestraなどでは、個別のアーティキュレーション・パッチとキースイッチ系のインストゥルメントが共存しています。

そのため、ライブラリに慣れていないと、

「どのパッチを使えばいいのか」

で迷うことがあります。

一方、現在のOpusにはカスタム・キースイッチ機能があり、複数のインストゥルメントをまとめ、キー、CC、ベロシティ、プログラムチェンジなどをトリガーとして切り替えることもできます。また複数インストゥルメントをPerformanceとして管理する仕組みも用意されています。

つまり、

EastWest=奏法ごとに大量のトラックを作らなければならない

というほど単純ではありません。

逆に言えば、

「個別パッチとして明確に管理する」

「Opusの中でまとめる」

「DAW側でトラックを分ける」

など、いくつかの考え方を選べるわけです。

ここでも結局、

どの方法が正しいかではなく、自分が後から理解しやすい方法を選ぶ

ことが重要になります。


3社を比べて見えてきたのは「優劣」ではなかった

ここまで考えてくると、

「ではVSL、Spitfire、EastWestのどれが一番いいのか?」

という問いそのものが、あまり意味を持たなくなってきます。

私の場合、ざっくり整理すると、

 VSL

演奏を自分で細かく組み立てたいとき。

 Spitfire

空間や情景そのものから音楽を考えたいとき。

 EastWest

大きなスケールや強い音楽的イメージが欲しいとき。

という使い分けになります。

でも、これはランキングではありません。

同じ曲の中で組み合わせることもあります。

大切なのは、

「どれが一番優れているか」ではなく、「今作ろうとしている音楽には何が必要なのか」

ということです。


音源は「再生装置」ではなく、作曲の入口でもある

そして今回、VSLのポイントで何を買うか考えているうちに、もう一つ重要なことに気がつきました。

音源は、

完成した頭の中の音楽を再現するためだけの道具ではない

ということです。

新しいギターを持つと、今まで弾かなかったフレーズを弾く。

新しいアンプを鳴らすと、そこから曲のイメージが生まれる。

新しいピアノを触ると、思っていなかったコードを弾いてしまう。

ソフトウェア音源でも同じです。

VSLを開いたから生まれる曲がある。

Spitfireを鳴らしたから思いつく響きがある。

EastWestだから書きたくなる大きなフレーズがある。

そう考えると、音源は単なる音の倉庫ではありません。

私はむしろ、

作曲のためのインターフェース

に近いものだと思っています。


では、VSLのポイントで何を買うのか?

さて、ここで最初の話に戻ります。

VSLのポイントがあります。

何を買おう?

オーケストラ音源を比較してみました。

ピアノも考えました。

既存のライブラリも見直しました。

そして出した結論は、

今あるものと似た音源を増やす必要はない

というものでした。

すでにオーケストラ音源は十分にあります。

ならば、

「不足しているもの」

ではなく、

「今までとは違う発想につながりそうなもの」

を選んだ方が面白い。

そこで今回選んでみようと思ったのが、

VSL Jazz Drums

そして、

VSL Upright Bass

でした。


考え続けた結果、ジャズドラムを買う

Option 5 ADoeiodD96.

ここまでVSL、Spitfire、EastWestについて考えて、

アーティキュレーションについて考えて、

Sound Variationsについて考えて、

Opusについて考えて、

DAWでのトラック管理についてまで考えた結果、

ジャズドラムとアップライトベースを買う。

……自分でも、少し面白い結論だと思います(笑)。

でも、これは単なるオチではありません。

今回考えてきたことを、そのまま実践するとこうなるのです。

私はすでにドラム音源もベース音源も持っています。

だから、

必要だから買うわけではありません。

ではなぜ買うのか。

VSLが作ったJazz DrumsをSynchron Playerで触ったら、どんなリズムを作りたくなるのか。

VSLのUpright Bassを弾いたら、どんな曲を思いつくのか。

それを試してみたいからです。


「不足を埋める買い物」から「発想を増やす買い物」

音源が少ないうちは、

足りないものを買う。

それでいいと思います。

でも、ある程度環境が揃ってくると、買い物の意味が変わってきます。

より新しいもの。

より高性能なもの。

より大容量なもの。

そういう方向へ進み続けるだけが、制作環境を良くする方法ではありません。

それよりも、

自分が今まで考えなかった音楽を考えさせてくれるもの

を選ぶ。

その方が、創作にとって価値がある場合があります。

今回、VSLのポイントをきっかけに考え始めたのは、

「どのオーケストラ音源が一番優れているのか」

という問題でした。

でも、最終的にたどり着いたのは少し違う答えです。

音色。

録音された空間。

アーティキュレーション。

DAWとの連携。

編集のしやすさ。

そして、その音源を開いたときに自分が思い浮かべる音楽。

そこまで含めて初めて、

自分にとって良い音源なのかどうか

が決まるのだと思います。

そして、十分に音源を持っている人ほど、

「まだ何を持っていないか」

ではなく、

「次にどんな音楽を思いつきたいか」

から音源を選んでみてもいい。

今回のVSLポイントは、結果として、そんなことを考えるきっかけになりました。

そして、その答えとして選んだJazz DrumsとUpright Bassから何が生まれるのか。

今は、それを試してみる方が楽しみです。

 

PayPal で支援する

musicfreaks.jpの活動をご支援頂けましたら幸いです。ひとつひとつのご支援が大きな励みとなります。どうか、よろしくお願いいたします。


 

付録ー調声に最適なヘッドフォン!


付録として、エムフリお気に入りのお薦めグッズをここに掲載します!

今回は調整作業に使っている、ヘッドフォンです。


僕は基本的にヘッドフォンで音楽を聴くのは好きではなくて、アナログ録音時のモニターか雑音などの最終チェックにしか使いません。

その理由は再生音がヘッドフォンによる特性にかなり左右されるからです。なので制作時にはその目的に応じた音のヘッドフォンを選択することになります。録音時のモニターや雑音を検知するのに適したものを選びます。

ただ、ヘッドフォンはそれほど好きではないのです。空間を介さない直接耳に伝える音なので、どちらかというと好んで使うというよりも、作業工程で仕方なく使うことが多いです。

♡購入までの経緯

最近、SynthesizerVで調声をするようになって、MacBookPROを使用して外出先などでも作業するようになりました。そうするとヘッドフォンは必須となってきます。長時間装着して疲れなければ、まぁイイかくらいで適当に選んでいました。

当初はデザイン性からTeenage Engineering のヘッドフォンを使用していました。オシャレな感じと携帯に便利なので使っていました。ハイがカットされて中低位域がモッコリするのですが、聞き疲れしないので気に入っていました。しかし、カバンに入れて持ち歩いていると可動部分が折れてしまいました。

気に入っていたので(デザインが〜笑)再注文して、ついでにいろいろ検索していると「アシダボックス」なるものを見つけました。ものすごく評判が良くて一時期は入手困難な状態が続いていました。日本のメーカーでデザインがなんともレトロ。

Teenage Engineeringのヘッドフォンよりも安かったのでポチってみました。

♡調声に最適

結論からいいますと、めっちゃイイです。特にSynthesizerVの調声作業にバッチリです!

丁度、人の声の部分が聞きやすくて微細な変化もこのヘッドフォンだと聞き逃すことがないです。SynthesizerVで調声をされている方には、是非是非お薦めのヘッドフォンです。コスパも良いです。

同じデザインで、ST-90-05とST-90-07というのがあります。僕が購入したのはST-90-07のほうです。評判になっていたのはST-90-05のほうなのですが、さらにパーツのグレードを上げて音をよくしたのががST-90-07です。

低域はあんまり出ませんので、そういった需要の音楽には不向きです。声が聴き取りやすいので、調声とは抜群に相性がイイです。先にもいったようにヘッドフォンは、その目的に応じて使うのが理想的で万能性を求めるものではありません。

最初にいったようにヘッドフォンを使うのはあまり好きではないのですが、これはかなりお薦めです。これを使い出してから、SynthesizerVの調声で細部の音の動きに迷うことが減って作業効率が上がりました。

とにかく声の微細な変化がとてもわかりやすいので、是非使ってみてください!


☆------------------------------------------------☆

Amzonタイムセール☆今すぐチェック!



 

この記事が気に入ったら
ツイッターでリツイート
Facebookでシェアしてくださいね☺️

最新情報をチェックしよう!