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楽器は、購入したらそれで終わりというものではありません。
演奏することで少しずつ自分の手になじみ、音楽を作るための道具になっていく。一方で、使い続けるためには、楽器の素材や仕上げに応じたメンテナンスも必要になります。
今回、私が所有するFender Custom Shop Jaco Pastorius Tribute Fretlessのネック裏に、少し気になる変化が起きました。
それは、ネックのベタつきです。
見た目には何の問題もありません。しかし、演奏していると、ネック裏が少しずつベタついてくる。水拭きすると一旦は改善するものの、しばらく弾くと再び気になり始めます。
購入してからまだ数か月の楽器です。なぜ、このようなことが起きたのでしょうか。
今回は、この経験をきっかけに、ラッカー塗装とウレタン系塗装の違い、楽器の日常管理、そして複数の楽器を使い分けることの意味について考えてみたいと思います。
しばらく弾かなかったフレットレスベースに変化
今回の主役は、Fender Custom Shop Jaco Pastorius Tribute Fretlessです。
ジャコ・パストリアスの愛用したフレットレスベースを再現したモデルで、ローズウッド指板にはエポキシコーティングが施されています。ネック裏はグロス・ニトロセルロース・ラッカー仕上げです。
この仕様はFenderの公式製品情報でも確認できます。
購入して数か月が経過した頃、私はこのベースを1か月ほど演奏せず、録音室の吊り下げ式スタンドに保管していました。温湿度は管理された環境で、ネック裏がスタンドに直接触れることも通常ありません。
ところが、久しぶりに手に取ってみると、ネック裏にベタつきを感じました。
見た目には変化がありません。塗装が剥がれたり、白く濁ったりしているわけでもありません。
そこで、固く絞ったクロスで水拭きを行い、すぐに乾拭きしました。すると、ベタつきは一旦解消しました。
しかし、問題はそれで終わりませんでした。
数分間演奏すると、手の触れる部分が再び少しベタついてくるのです。
最初は、手汗や皮脂が関係しているのではないかと考えました。ただし、表面の汚れが原因なのか、塗膜そのものの状態に変化が起きているのかは、まだわかりません。
ラッカー塗装だから必ず起きる現象なのか、それとも個体固有の問題なのか。その判断も、現時点ではできていません。
そこで、これ以上いろいろな方法を試すのではなく、当面は演奏を休止し、綿100%のネルクロスで優しく乾拭きする程度にとどめることにしました。
そして、10月半ばに楽器店へ持ち込み、専門家に状態を確認してもらう予定です。
今回の経験で感じたのは、見た目に問題がなくても、楽器の状態を判断するには、実際に触れたときの感覚も重要だということです。
ラッカー塗装とウレタン系塗装は何が違うのか
今回のベタつきを考えるうえで、避けて通れないのが塗装の違いです。
エレキギターやベースには、さまざまな仕上げ方法があります。代表的なものが、ニトロセルロース・ラッカーと、ポリウレタンやポリエステルなどの塗装です。
Fenderの説明によれば、現代的なポリウレタンやポリエステルの塗装は、一般にラッカーより硬く、環境変化や日常使用、経年変化の影響を受けにくい傾向があります。
一方、ラッカーは経年変化が現れやすく、温度や湿度の変化、接触する素材などに注意が必要です。
ただし、塗装の種類だけで楽器の音質や演奏性、耐久性のすべてが決まるわけではありません。塗膜の厚さ、仕上げ方、個体の状態なども関係します。
ラッカー塗装の魅力と注意点
ラッカー仕上げの楽器には、経年変化によって表情が変わっていく魅力があります。
使い込むことで生まれる変化を、その楽器が過ごしてきた時間の一部として楽しむ人もいます。
しかし、ラッカーは何にでも強い塗装というわけではありません。
Fenderは、汗や皮脂、汚れを放置しないことに加え、ビニールやプラスチック、ゴム系素材などが塗装に悪影響を及ぼす場合があると案内しています。
つまり、ラッカー仕上げの楽器は、ただ丁寧に扱うだけでなく、何に触れさせるのか、どのような環境で保管するのかまで意識する必要があるのです。
ウレタン系塗装の扱いやすさ
一方、ウレタン系塗装の楽器は、日常使用において比較的扱いやすい傾向があります。
私が所有するFender American Professional II Precision Bassも、サテン・ウレタン塗装です。
こちらはネック裏のベタつきなどの問題もなく、非常に扱いやすいと感じています。
もちろん、ウレタン系塗装なら何をしても大丈夫というわけではありません。強い溶剤や研磨剤などは避け、適切なクロスで日常的に汚れを拭き取ることが基本です。
大切なのは、ラッカーとウレタンのどちらが優れているかを決めることではありません。
それぞれの特性を理解し、楽器に合った付き合い方をすることだと思います。
ネックがベタついたとき、どう対処するべきか
今回、私が最初に行ったのは水拭きでした。
固く絞ったクロスで表面を拭き、その直後に乾拭きをする。これによって一時的に改善しました。
しかし、同じことを繰り返しても、演奏すると再びベタつきます。
この段階で、安易にクリーナーや研磨剤を使うのは避けるべきだと考えました。
ベタつきの原因が表面の汚れであれば、適切な清掃で改善する可能性があります。しかし、塗膜そのものに何らかの変化が起きている場合、自己判断で薬剤を使用することで、かえって状態を悪化させる可能性もあります。
そこで、今回の管理方針を次のように整理しました。
- 日常のケアには、白色の綿100%ネルクロスを使用する。
- 演奏後は、汗や皮脂を残さないよう優しく拭き取る。
- アルコール入り・ノンアルコールを問わず、ウェットティッシュは使用しない。
- エポキシコーティングされた指板には、通常の木製指板向けオイルを使用しない。
- ベタつきが再発する場合は、薬剤などを追加せず、専門家に相談する。
なお、マイクロファイバークロスがラッカー塗装に一律に使用できないというわけではありません。今回は、現在の楽器の状態を考慮し、綿ネルクロスに統一して管理することにしました。
また、今回の原因はまだ確定していません。手汗や皮脂の残留物なのか、塗膜の状態に問題があるのかは、楽器店での確認を待ちたいと思います。
保管環境もメンテナンスの一部
今回のベースは、ネック裏がスタンドに通常接触しない吊り下げ式スタンドで保管していました。
そのため、スタンドのゴムや樹脂素材との接触による固着は、今回の症状の直接的な原因としては考えにくい状況です。
ただし、ラッカー仕上げの楽器では、ストラップやスタンド、壁掛けハンガーなどの接触素材にも注意が必要です。
また、温度や湿度の急激な変化を避けることも重要です。
今回は、温湿度が管理された録音室で保管し、演奏を休止することにしました。
これは、短期間で塗装を完全に硬化させるためではありません。汗や皮脂の付着を避け、状態を悪化させずに専門家の点検を受けるためです。
楽器に異常を感じたとき、必ずしも自分で解決しようとする必要はありません。何もしないこと、状態を観察すること、専門家に判断を委ねることも、適切なメンテナンスの一部だと思います。
3本のベース、それぞれのメンテナンス
現在、私が日常的に使い分けているベースは、今回のジャコパスモデルだけではありません。
Fender American Professional II Precision Bass、そしてTUNE TAB-345というアコースティックベースも所有しています。
それぞれ仕上げや指板の素材が異なるため、管理方法も同じではありません。
Fender Custom Shop Jaco Pastorius Tribute Fretless
このベースは、ラッカー塗装とエポキシコーティングされた指板という特徴があります。
日常の清掃には綿100%のネルクロスを使用し、汗や皮脂を残さないようにする。指板には一般的な木製指板向けのオイルを使わない。
そして、ベタつきなどの異常を感じたら、自己判断で薬剤を使う前に原因を確認する。
今回の経験を通じて、こうした基本を改めて意識するようになりました。
Fender American Professional II Precision Bass
こちらはサテン・ウレタン塗装で、現状、ネック裏のトラブルはありません。
日常的にはマイクロファイバークロスなどで汗や汚れを拭き取り、必要以上に神経質にならず、演奏したいときに手に取る。
この扱いやすさは、実際に所有して使ってみて感じる大きな魅力です。
TUNE TAB-345 Acoustic Bass
TUNE TAB-345は、ウレタン塗装のボディとエボニー指板を持つアコースティックベースです。
天然木のスタンドに斜め掛けして保管し、頻繁に使用しています。
ボディは通常の乾拭きを基本とし、指板については乾燥状態や汚れを見ながら必要なケアを考えています。
エボニー指板には、まだオイルを使用していません。今後も、単に年に何回と決めて機械的に塗るのではなく、指板の状態やメーカーの推奨を確認したうえで判断するつもりです。
指板の素材が違えば、必要なケアも変わります。
楽器のメンテナンスは、すべての楽器に同じ手順を適用すればよいというものではないのです。
手間をかける喜びと、気軽に使える楽しさ
今回のベタつきは、楽器のメンテナンスについて改めて考えるきっかけになりました。
ジャコパスモデルは、私にとって特別なベースです。
フレットレスならではの表現力はもちろん、ジャコ・パストリアスという音楽家の存在や、その楽器が持つ背景にも魅力を感じています。
だからこそ、状態を確認し、必要な手入れを行い、長く使っていきたいと思っています。
しかし、楽器を大切にするということは、何でも慎重に扱い、傷ひとつ付けないようにすることだけではありません。
楽器を弾くこと、音を出すこと、演奏から新しいアイデアを得ることも、所有する喜びの一部です。
その意味では、American Professional II Precision Bassのように、日常的に気兼ねなく手に取れる楽器にも、また別の価値があります。
メンテナンスに手間をかけることが楽しい楽器もあれば、手間をあまり意識せず、演奏そのものに集中できることが楽しい楽器もある。
私は、この違いをどちらか一方に統一する必要はないと考えています。
むしろ、それぞれの楽器の特徴を理解し、役割を分けることで、音楽との付き合い方が豊かになるのではないでしょうか。
楽器を大切にするということ
今回のベタつきは、まだ原因が確定していません。
10月半ばに楽器店で状態を確認してもらい、その結果によっては、今後の管理方法を見直すことになるかもしれません。
そのため、現時点で結論を急ぐつもりはありません。
ただ、今回の経験から、楽器を大切にすることについて一つ改めて感じたことがあります。
それは、すべての楽器を同じように扱う必要はない、ということです。
塗装や指板の素材を理解し、それぞれに適した方法で管理する。異常があれば、原因を決めつけずに状態を確認する。そして、楽器を維持するための手間も、演奏を気軽に楽しめることも、どちらも大切にする。
楽器は、音を出すための道具です。
しかし、ただ音を出せればよいというものでもありません。手入れをしながら長く付き合うことで生まれる愛着もあれば、思い立ったときにすぐ演奏できることで生まれる喜びもあります。
手間をかけることと、気軽に使うこと。
その両方を自分の音楽生活の中に持てることが、複数の楽器を所有する面白さなのかもしれません。
これからも、それぞれの楽器の個性を理解しながら、長く音楽を楽しんでいきたいと思います。
参考資料
- Fender公式:Jaco Pastorius Tribute Fretless Jazz Bass 製品仕様
- Fender公式:Lacquer Finish Care and Maintenance
- Fender公式:How to Clean Your Guitar for Better Tone
※本記事は筆者の実体験とメーカーの公開情報をもとに構成しています。ネック裏のベタつきの原因は執筆時点では確定しておらず、個別の症状については専門家による確認が必要です。
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付録ー調声に最適なヘッドフォン!
付録として、エムフリお気に入りのお薦めグッズをここに掲載します!
今回は調整作業に使っている、ヘッドフォンです。
僕は基本的にヘッドフォンで音楽を聴くのは好きではなくて、アナログ録音時のモニターか雑音などの最終チェックにしか使いません。
その理由は再生音がヘッドフォンによる特性にかなり左右されるからです。なので制作時にはその目的に応じた音のヘッドフォンを選択することになります。録音時のモニターや雑音を検知するのに適したものを選びます。
ただ、ヘッドフォンはそれほど好きではないのです。空間を介さない直接耳に伝える音なので、どちらかというと好んで使うというよりも、作業工程で仕方なく使うことが多いです。
♡購入までの経緯
最近、SynthesizerVで調声をするようになって、MacBookPROを使用して外出先などでも作業するようになりました。そうするとヘッドフォンは必須となってきます。長時間装着して疲れなければ、まぁイイかくらいで適当に選んでいました。
当初はデザイン性からTeenage Engineering のヘッドフォンを使用していました。オシャレな感じと携帯に便利なので使っていました。ハイがカットされて中低位域がモッコリするのですが、聞き疲れしないので気に入っていました。しかし、カバンに入れて持ち歩いていると可動部分が折れてしまいました。
気に入っていたので(デザインが〜笑)再注文して、ついでにいろいろ検索していると「アシダボックス」なるものを見つけました。ものすごく評判が良くて一時期は入手困難な状態が続いていました。日本のメーカーでデザインがなんともレトロ。
Teenage Engineeringのヘッドフォンよりも安かったのでポチってみました。
♡調声に最適
結論からいいますと、めっちゃイイです。特にSynthesizerVの調声作業にバッチリです!
丁度、人の声の部分が聞きやすくて微細な変化もこのヘッドフォンだと聞き逃すことがないです。SynthesizerVで調声をされている方には、是非是非お薦めのヘッドフォンです。コスパも良いです。
同じデザインで、ST-90-05とST-90-07というのがあります。僕が購入したのはST-90-07のほうです。評判になっていたのはST-90-05のほうなのですが、さらにパーツのグレードを上げて音をよくしたのががST-90-07です。
低域はあんまり出ませんので、そういった需要の音楽には不向きです。声が聴き取りやすいので、調声とは抜群に相性がイイです。先にもいったようにヘッドフォンは、その目的に応じて使うのが理想的で万能性を求めるものではありません。
最初にいったようにヘッドフォンを使うのはあまり好きではないのですが、これはかなりお薦めです。これを使い出してから、SynthesizerVの調声で細部の音の動きに迷うことが減って作業効率が上がりました。
とにかく声の微細な変化がとてもわかりやすいので、是非使ってみてください!
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